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在庫のABC分析:実務に役立つ分類の計算方法

安価な部品の欠品で生産を止めず、金額の大きい品目に在庫管理の力を集中。在庫のABC分析で分類を計算し、実務の管理方針につなげる方法を解説します。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月21日 3 分で読めます
Motors, shafts and bolts in separate trays beside an assembly awaiting a small bolt.
この記事の内容
  1. A・B・Cは何を表すのか
  2. 在庫のABC分類を計算する手順
  3. 1. 使用量と単価を集める
  4. 2. 年間使用金額を計算する
  5. 3. 金額の大きい順に並べる
  6. 4. 品目ごとの構成比と累積構成比を計算する
  7. 5. 境界のルールを明示して分類する
  8. 計算例:使用量が数千に上ってもC品目になり得る
  9. 分類ごとに管理方法を変える
  10. 在庫方針を変える前に、生産上の重要度も確認する
  11. SkyPlannerで、どのクラスの資材もスケジュールに反映する
  12. 資材状況の見える化がEskomaticにもたらした変化
  13. まずは1つの資材グループと、実際に起きた欠品から

ホーム » リソース » 在庫のABC分析:実務に役立つ分類の計算方法

推定読書時間: 10 分

在庫のABC分析は、年間使用量に単価を掛けた「年間使用金額」を基準に、在庫品目を分類する手法です。その金額のうち最も大きな割合を占める品目群をA、次の品目群をB、残りをCとします。金額面で最も効果の大きいところに、在庫管理の労力を振り向けることが目的です。

ただし製造業では、もう一つ重要な問いがあります。「どの品目が欠けると、受注した製品の生産が止まるのか」という問いです。安価なボルトはCに分類されても、欠品すれば組立全体を止めかねません。ABC分析で分かるのは、どの品目にどれだけの費用がかかっているかであり、どの作業なら支障なく着手できるかではありません。

まずABC分類を使って、適切な購買・在庫管理の方針を定めます。そのうえで、SkyPlanner APSで資材の利用可能状況を生産スケジュールに結び付けます。年間の支出額が大きい品目だけでなく、安価な部品でも欠品によって納期が危うくなる場合に、注意を向けられるようにするためです。

A・B・Cは何を表すのか

使用金額に基づく分析でA・B・Cが表すのは、金額がどの品目群に集中しているかです。品質や利益率、生産の優先順位を表すものではありません。

  • A品目は、年間使用金額のうち、上位の最も大きな割合を占める品目群です。在庫精度、発注済みの数量・金額、過剰在庫を重点的に管理する必要があります。
  • B品目は、それに続く割合を占める品目群です。通常は、品目ごとに特別扱いするよりも、標準的な管理と定期的な見直しが適しています。
  • C品目は、使用金額の残りの小さな割合を占める品目群です。多くの場合、避けられる欠品で生産に支障を来さないようにしながら、日常的な補充や管理事務を簡素化する余地があります。

よく使われる出発点は、使用金額のおよそ80%をA、次の15%をB、残りの5%をCとする区分です。これは管理方針として設定する境界であって、普遍的なルールではありません。実際の分布は、自社では異なる場合があります。

よく知られる80/20の考え方は、比較的少数の品目に金額が集中し得ることを示しています。品目コード数のちょうど20%をAにする必要はありません。あらかじめ決めた比率に品目数を無理に合わせず、まず実際の金額分布を計算しましょう。

在庫のABC分類を計算する手順

まず、工場で使用する購入資材・部品など、分析対象の範囲を明確に定めます。対象期間は共通の12か月とし、原価の基準も統一してください。原材料の使用金額と完成品の総額を同じ順位表に混在させる場合は、重複分を考慮する必要があります。そうしないと、同じ資材の金額を二重に計上するおそれがあります。

1. 使用量と単価を集める

品目コードごとに、対象期間中の使用量と単価を記録します。数量と単価の単位は必ずそろえてください。数量を個数で記録しているなら、箱単価ではなく1個当たりの単価を使います。一覧全体で通貨と評価基準も統一します。

使用実績は実用的な出発点ですが、今後の生産を適切に表しているか確認が必要です。製品の生産終了や新たな契約、欠品によって使用量が抑えられていた期間などがあると、過去1年の実績では判断を誤ることがあります。代わりに年間使用量の予測値を使う場合は、その旨を明記し、一貫して使用してください。

2. 年間使用金額を計算する

年間使用金額 = 年間使用量 × 単価

これは1年間に使用した分の金額であり、現時点の在庫金額ではありません。手元の在庫が少ない品目でも、頻繁に補充していれば年間の支出額は大きくなります。

販売価格や売上高でもありません。ここで扱う製造資材の分析では、生産で使用する資材の原価を基準に順位を付けます。

3. 金額の大きい順に並べる

各品目の年間使用金額を合計し、品目の行を金額の大きい順に並べます。単価だけで順位を付けてはいけません。安価でも大量に使用する資材は、高価でもたまにしか使わない部品より上位になることがあります。

4. 品目ごとの構成比と累積構成比を計算する

品目の金額構成比 = その品目の年間使用金額 ÷ 年間使用金額の合計 × 100%

累積構成比は、金額順に並べた一覧の上から、構成比を順に足し合わせたものです。この累積値を基に、分類の境界を決めます。

5. 境界のルールを明示して分類する

80/15/5の方針なら、累積構成比が80%に達するか超えるまでをA、続いて95%に達するか超えるまでをBとします。残りの品目がCです。一つの品目コードを複数の区分に分けないでください。

このルールでは、境界を超えることになった品目も、その時点で割り当てている区分に含めます。例えば、次の品目を加えるとAの累積構成比が79%から83%になる場合、その品目はAのままとし、その次の行からBを始めます。別のルールでも、一貫して適用できれば構いません。次の分析担当者が同じ結果を再現できるよう、採用したルールを記録してください。金額が同じ品目の扱いも統一し、並び順が変わっただけで、理由の分からない分類変更が起きないようにします。

計算例:使用量が数千に上ってもC品目になり得る

あるメーカーが6種類の購入資材を分析する例を考えます。以下の数値は説明用であり、顧客の実績ではありません。年間使用金額の合計は$100,000です。行は年間使用金額の大きい順に並べ、金額が同じ2行は元の品目一覧の順序を維持しています。

資材年間使用量単価年間使用金額金額構成比累積構成比分類
モーター200$300.00$60,00060%60%A
ハウジング400$50.00$20,00020%80%A
シャフト600$20.00$12,00012%92%B
シール6,000$0.50$3,0003%95%B
ボルト30,000$0.10$3,0003%98%C
ラベル100,000$0.02$2,0002%100%C

ハウジングの場合、400 × $50 = $20,000となります。これを$100,000で割ると、構成比は20%です。モーターの60%に加えると累積構成比が80%になり、ここまでがAに分類されます。

シャフトとシールを加えると15%分が上乗せされ、累積構成比95%までがBになります。ボルトとラベルは最後の5%を占めるため、この方針ではCです。

この計算からは判断できないことにも注意してください。このメーカーはボルトを30,000個使用していますが、年間の費用が比較的小さいためCに分類されます。Cは、めったに使わない品目、陳腐化した品目、あるいは欠品してもよい品目という意味ではありません。同様に、Aだからといって、設備での加工順序でモーターを自動的に優先すべきということでもありません。

分類ごとに管理方法を変える

分類は、実際の業務の進め方を変えてこそ役立ちます。品目マスターに文字を追加するだけで終わらせず、分類ごとに管理方針、担当者、見直しの手順を定めましょう。

分類管理の重点避けるべきこと
A発注済みの数量・金額と過剰在庫を入念に確認する。在庫誤差が大きな金額リスクにつながる品目は、在庫精度を頻繁に確認する。需要と原価の変化にも注意を払う。A品目という理由だけで余分に在庫を購入することや、在庫を削減しすぎて安定供給を損なうこと。
B標準的な補充方針を適用し、例外事項を定期的に確認する。使用金額や供給状況に変化がある品目は、その原因を調べる。Aの厳格な管理とCの簡素な運用の間で、中間のB品目に管理が行き届かなくなること。
C適切な梱包単位、2ビン方式による補充、仕入先との取り決めで発注・受入れの手間を減らす。実際の供給リスクに見合う備えは確保する。年間の支出額が小さいことを理由に、欠品、使用期限、生産への影響を軽視すること。

適切な棚卸頻度や購買内容の見直し間隔は、現場の運用によって異なります。同じクラスでも、使用状況が安定し在庫記録も正確な品目と、在庫差異を繰り返している品目では、管理の仕方を変える必要があります。

同様に、C品目をまとめて発注すれば、購買や荷扱いを繰り返す手間が省け、経済的になる場合があります。ただし、資材が期限切れになったり陳腐化したりするなら逆効果です。ABC分析は管理の重点を決めるためのものであり、最適な発注量や必要な安全在庫を計算するものではありません。

安全在庫の設定は、ABC分類とは分けて考えましょう。A、B、Cの各品目に一律の在庫比率を適用するのではなく、不確実性、補充にかかる時間、欠品時の影響に基づいて余裕分を決めます。

在庫方針を変える前に、生産上の重要度も確認する

C品目の管理を簡素化する前に、それぞれが欠品したときに何が起こるかを確認しましょう。承認済みの代替品があるか、代わりの資材をどの程度の期間で調達できるか、どの受注に必要なのかを調べます。

ABCクラスと併せて、生産上の重要度も分かるようにしておきましょう。承認済みの代替品がないCクラスのボルトは、購買時にAクラスのモーターと同じ厳密さで精査する必要はなくても、欠品には緊急対応が必要な場合があります。そのリスクを認識するために、Aクラスへ変更する必要はありません。

需要の変動性も、別の評価軸です。年間使用金額が同じ2品目でも、一方は継続的に使われ、もう一方は時折まとめて払い出されるなど、使用のされ方が大きく異なる場合があります。同じ補充方法を適用する前に、このパターンを確認しましょう。

ある組立指図に必要なモーターとハウジングはそろっているのに、ボルトが足りない場面を考えてみてください。金額だけを見れば、必要な資材の大半は確保できているように見えます。しかし、現場ではその部品がなければ組立を完了できません。先に作業を始めても、未完成の組立品が増え、余分な荷扱いが発生し、管理すべき作業待ちが増えるだけかもしれません。

ここで問うべきなのは、「そのボルトはどのクラスか」ではありません。「この指図は実際にいつ着手でき、それまで現場では何ができるか」です。

SkyPlannerで、どのクラスの資材もスケジュールに反映する

SkyPlanner APSは、資材の利用可能状況を、設備などの生産リソース、シフト、工程間の依存関係、優先順位とともにスケジュール計算に取り込みます。資材を考慮するスケジューリングを有効にすると、Arcturusは利用可能な資材と今後の入荷予定を考慮して、作業の開始時刻を計算します。設定されたルールに従い、必要な資材が利用可能になる前に作業を開始する予定は組みません。

これにより、不足しているボルトは、在庫レポート上の低額な1行ではなく、スケジュール上の制約として扱われます。在庫残高と各設備の作業待ちを手作業で照合する代わりに、Ganttビューで計画された工程と完了予定を確認できます。資材がそろわない開始予定を減らし、納期に関わる問題を早く把握できるようになります。

発注の納入予定日は、資材が利用可能になる見込みを示すものです。発注を納入済みとして確定すると在庫が更新されますが、入荷予定は、すでに手元にある在庫とは異なります。仕入先が予定日を変更した場合は、その情報を更新してスケジュールを再計算し、作業への影響を確認します。

優先順位を決めるのは、引き続き担当者です。Arcturusは、指定されたルールと生産能力の範囲内で作業順序を計算するため、各工程を自分で動かす代わりに、約束した納期などへの影響を評価できます。SkyPlannerがABC管理の補完に役立つのは、このためです。金額面で管理すべき品目に重点を置きながら、各作業に実際に必要な部品を踏まえて、着手の可否を判断できます。

SkyPlannerは、公開REST APIを通じて、あらゆるERPやMESと連携できます。購買・品目データを管理している既存システムをそのまま使いながら、資材の利用可能状況を反映した生産スケジュールに接続できます。

資材状況の見える化がEskomaticにもたらした変化

機械加工を受託するEskomaticは、以前、旧来のERPと生産管理環境のもとで、作業順序の管理を主に手作業で行っていました。全体像をつかむのに手間がかかり、資材の利用可能状況も十分に見えなかったため、作業開始の予定直前まで欠品が判明しないおそれがありました。

SkyPlannerを既存のERPに接続したことで、同社はGanttで作業順序を視覚的に確認できるようになり、生産負荷を考慮した自動スケジューリングと、資材不足のより明確な把握が可能になりました。SkyPlannerの導入事例で、Eskomaticは、資材不足による生産停止が減り、納期設定の精度も向上したと報告しています。

この事例は、単に品目を分類するだけでは得られない業務改善を示しています。生産計画担当者は、資材の問題を、それが影響する作業と結び付けて把握できます。ABCの分類だけで納期を守れると考えるのではなく、在庫管理とスケジューリングをつなぐことが重要です。

まずは1つの資材グループと、実際に起きた欠品から

対象範囲を明確にした資材グループを選び、年間使用金額を計算して、クラスの境界を関係者で合意しましょう。分類に応じた管理方針を適用し、C品目の補充を簡素化する前に、生産上の重要度を確認します。需要、原価、製品構成が変わったら分類を見直しましょう。また、過去の使用実績だけで判断せず、新規品目や使用実績がゼロの品目は、別途明確に確認対象とします。

ABC分析で、金額面の管理を必要な品目に集中させましょう。SkyPlannerで、資材の準備状況と生産能力を踏まえた、現場で実行できる計画を作成しましょう。

最近、部品不足で遅れた組立指図を題材に、SkyPlannerのデモをご予約ください。必要資材、入荷予定、工順をご用意いただき、欠品によって開始・完了予定がどう変わるかを、ほかの作業と併せて確認できます。まずご自身で操作してみたい方は、デモデータでSkyPlannerをお試しください。

Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

SkyPlannerで、わかりやすい生産スケジュールを

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