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最小最大在庫管理:いつ、どれだけ補充するか

最小最大在庫管理で重複発注を防ぐ。算入すべき需給と補充量の決め方、SkyPlannerによる承認済み作業のスケジューリングを解説。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月27日 3 分で読めます
A low bracket bin with lower and upper reference marks beside incoming parts illustrates min–max replenishment.
この記事の内容
  1. 最小最大在庫管理とは
  2. 手持在庫だけでなく、有効在庫量で判断する
  3. 製造業における最小最大在庫管理の例
  4. 手配済みでも、必要日に間に合うとは限らない
  5. 最小在庫水準と最大在庫目標の設定方法
  6. 補充までの需要を賄える最小在庫水準にする
  7. 狙った補充サイクルになるよう最大在庫目標を決める
  8. 発注を確定する前に、発注条件を反映する
  9. 最小最大在庫管理が有効な場面と、しきい値だけでは対応できない場面
  10. 承認済みの補充を生産スケジュールに組み込む
  11. 見込生産での活用例
  12. 実際の補充案件で方針を検証する

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推定読書時間: 10 分

保管箱の部品が少なくなったため、購買担当者が追加で発注する。一方、製造現場では、同じ品目の補充指図を受けてすでに生産が進んでいる。それぞれの判断だけを見れば妥当に思えますが、両方を合わせると、工場に不要な在庫が生まれてしまいます。

最小最大在庫管理は、補充を一貫したルールで行うための手法です。最小在庫水準で補充のタイミングを判断し、最大在庫目標でどこまで補充するかを決めます。製造業で適切に運用するには、棚にある現物だけでなく、すでに手配済みの入庫予定数量と確定需要も計算に入れる必要があります。

続いて必要になるのが、生産面での判断です。補充分を内製する場合は、顧客向けの作業と並行して、その数量を実際の設備で生産する時間を確保しなければなりません。SkyPlanner APSは、承認済みの補充生産を、生産能力と資材を考慮した同じスケジュールに組み込みます。補充用の作業順序を別途手作業で組まなくても、完了時期を確認できます。

最小最大在庫管理とは

最小最大在庫管理は、在庫として保有する品目ごとに、次の2つの値を設定する補充方式です。

  • 最小在庫水準:補充を判断する基準となるしきい値。
  • 最大在庫目標:補充後に目指す有効在庫量。

最小在庫水準は、そこで在庫を使い切ることを想定した値ではありません。需要が続いても、補充品が入庫するまで持ちこたえられるように設定します。また、最大在庫目標は毎回の発注数量ではなく、現物在庫が絶対にその水準を超えないことを保証するものでもありません。

この方式では、目標までの不足分に応じて発注数量が変わります。目標が600個で、算定対象の有効在庫量が230個なら、補充数量は370個を基準に検討します。有効在庫量が280個であれば、基準となる補充数量は320個です。

補充の判断条件が「最小在庫水準を下回る」なのか、「最小在庫水準以下になる」なのかを明記しておきましょう。境界値の扱いは、システムや社内方針によって異なります。以下の例では、有効在庫量が最小在庫水準を下回った場合に補充するものとします。

手持在庫だけでなく、有効在庫量で判断する

手持在庫は、現物がいくつあるかを表します。一方、有効在庫量は、すでに手配済みの供給と確定需要を加味し、追加の補充手配が必要かどうかを判断するための数量です。

確定需要を差し引く運用では、次の式を使います。

有効在庫量 = 使用可能な手持在庫 + 手配済みの未入庫補充数量 − 算定対象の確定需要

手配済みの未入庫分には、未入庫の購買発注、拠点間移送、社内の補充生産指図などを含めます。同じ供給を重複して計上しないようにしてください。一部が入庫済みの場合は、当初の発注数量ではなく、今後入庫する残数量を数えます。

計算前に、対象範囲を定めておきましょう。対象は1品目とし、拠点は1か所または合意済みの拠点群、数量単位は1つに統一し、供給と需要の集計期限にも一貫性を持たせます。隔離中などの理由で使用できない在庫は除外します。また、同じ確定需要を二重に差し引いてはいけません。計算の起点となる残高がすでに引当分を差し引いた値なら、その引当分を再度控除しないでください。

差し引く需要の種類は、どの運用でも同じとは限りません。重要なのは、算出した数量に何が含まれているかを把握し、その算定基準に合わせたしきい値を使うことです。ある定義で計算した最小在庫水準を、見直さずに別の定義へ適用することは避けるべきです。

製造業における最小最大在庫管理の例

繰り返し受注する製品に備え、標準ブラケットを在庫しているメーカーを考えてみましょう。最小在庫水準は300個、最大在庫目標は600個です。あらかじめ合意した計画期間内の確定需要を差し引く運用とします。

算定項目数量計算上の扱い
使用可能なブラケットの手持在庫180現在の在庫として計上
承認済みで未入庫の補充分200手配済みの供給として1回だけ加算
今回の確認で算定対象となる確定需要1501回だけ減算
有効在庫量230最小在庫水準の300と比較
新たに補充する数量370有効在庫量を230から600へ引き上げる

計算式は180 + 200 − 150 = 230です。230は300を下回るため、この補充方針では補充が必要と判断します。基準となる発注数量は、600 − 230 = 370個です。

手配済みの200個を計算に入れないと、補充提案は570個になります。同じ需要に対して200個を二重に手配することになります。逆に、確定需要を計算に入れないと、有効在庫量は380個となり、補充が必要なこと自体を見落としてしまいます。

目標が表すのは、新たな手配分を加えた後の正味の有効在庫量であり、入庫時に実際に存在する在庫量とは限りません。調達や生産を進めている間も、在庫の消費は続きます。

手配済みでも、必要日に間に合うとは限らない

有効在庫量で分かるのは、数量面で補充が必要かどうかです。その値だけでは、すべての需要をそれぞれの必要日に満たせるとは判断できません。

先ほどのブラケットの例で、火曜日に120個、水曜日にさらに30個が必要になるとします。使用可能な手持在庫180個で、両方の需要を満たせます。しかし、手配済みの補充分200個すべての入庫が、その後に発生する新たな需要の必要日より遅れるとどうでしょうか。その補充分を全体の有効在庫量に算入していても、後から発生した需要を満たせない可能性があります。

合計数量だけでなく、日付も確認しましょう。新たに補充量を丸ごと手配するより、既存の手配分を前倒ししたり、スケジュールを調整したりする方が合理的な場合があります。日付に基づく在庫充足状況の確認は、最小最大在庫管理を補完するものです。補充の判断基準や目標に取って代わるものではありません。

最小在庫水準と最大在庫目標の設定方法

まずは繰り返し消費される品目を対象に、信頼できる使用実績と補充実績をそろえましょう。最小と最大は一緒に検討しますが、それぞれの役割は明確に分けます。

補充までの需要を賄える最小在庫水準にする

需要が比較的安定している場合は、次の式が実務上の出発点になります。

最小在庫水準 = 補充リードタイム中の予想需要 + 安全在庫

リードタイムには、在庫が使用可能になるまでの時間を使います。仕入先からの輸送時間や設備の加工時間だけではありません。承認、購買手続き、生産能力の空き待ち、受入れにかかる時間も含まれます。

稼働日あたり40個を使用する品目を考えてみましょう。補充には五稼働日かかり、会社として安全在庫を80個に設定したとします。リードタイム中の予想需要は200個なので、最小在庫水準の初期値は280個となります。

安全在庫80個は、この例のための仮定であり、推奨するサービス水準を示すものではありません。安全在庫は、変動の大きさと欠品時の影響に応じて決めます。安価な部品でも、それが欠けると最終組立が止まるのであれば、購入金額から想像する以上に注意を払う必要があります。

確認頻度も重要です。常時監視する運用と、週1回レポートを確認する運用は同じではありません。確認の直後にしきい値を下回る可能性があるなら、担当者が発注するまでの追加の待ち時間も考慮しましょう。そうしないと、一見十分な最小在庫水準でも、補充の着手が遅れるおそれがあります。

狙った補充サイクルになるよう最大在庫目標を決める

最大在庫目標は、補充のしきい値を下回ったときに、有効在庫量をどこまで戻すかを決める値です。一般に、目標を高くすると1回の補充量が増え、在庫を抱えるリスクも大きくなります。低くすると補充頻度が上がり、発注や段取りの回数が増えます。

日あたり40個を使用する例で、最大在庫目標を600個に設定するとします。最小在庫水準280個との差は320個で、平均使用量の八稼働日分に相当します。これは想定する補充サイクルを理解するための見方であり、600個が最も低コスト、あるいは最適な目標であることを示すものではありません。

保管スペース、保管期限、陳腐化リスク、運転資金、生産や仕入先のロットサイズに照らして、目標が妥当かを検証しましょう。動きが遅く、しかも保管期限が短い品目では、最小在庫水準と最大在庫目標の範囲が一見適切でも、多額の廃棄損につながる可能性があります。

発注を確定する前に、発注条件を反映する

計算した不足分は、補充数量を決める出発点です。サプライヤーの最低発注数量や梱包単位、生産ロットの制約によって、実際に発注できる数量は変わることがあります。

ブラケットの補充案が370個でも、50個単位でしか調達できなければ、切り上げて400個になります。その結果、調整前の在庫目標を30個上回ります。この差を許容するか、調達条件を変えるか、補充方針を見直すかを判断してください。「最大在庫目標」と「最大発注数量」を、同じ設定として扱ってはいけません。前者は目標とする正味の在庫量を示し、後者は1回の発注数量を制限するものです。

承認された補充は、速やかに入荷予定として登録してください。これにより、次回の見直し時や別の購買担当者による、同じ不足分の重複発注を防げます。

最小最大在庫管理が有効な場面と、しきい値だけでは対応できない場面

最小最大在庫管理は、共通部品や標準的な半組立品、使用頻度の高い消耗品など、継続的に消費され、補充状況を把握できる在庫品に適しています。利点は、一貫した基準で運用できることです。補充が必要な理由と、その数量を決めた根拠を関係者で共有できます。

一方、特定の日に集中する大口需要が平均値に埋もれてしまう場合、この方法の信頼性は下がります。顧客向けのロット生産で時折しか使わない部品には、一定の在庫範囲を維持する方法より、必要時期に基づく資材計画が適している場合があります。使用頻度の低い予備品も、重要度に基づいて在庫の要否を判断する必要があります。平均使用量が少ないというだけでは、欠品した際の損失の大きさは分かりません。

関連する手法との違いも明確にしておきましょう。

  • 安全在庫は、不確実性に備えるための在庫です。最小在庫の設定には役立ちますが、最小最大在庫管理の方針全体を定めるものではありません。
  • 経済的発注量(EOQ)は、発注費用と在庫保有費用の前提条件からロットサイズを算出します。これに対し、最小最大在庫管理では、最大在庫目標までの差を補充します。この差は、その時々の状況によって変わります。
  • 見込生産は、顧客からの受注に先行して製造する方式です。最小最大在庫管理は、この生産方式で補充を管理するための選択肢の一つです。

消費量、サプライヤーの納入実績、製造リードタイム、製品寿命が変わったら、設定値を見直してください。欠品や過剰在庫が繰り返される場合は、単に設定範囲を広げる前に原因を調べましょう。入荷の遅れ、在庫残高の不正確さ、重複発注では、それぞれ必要な対策が異なります。

承認済みの補充を生産スケジュールに組み込む

内製部品では、「370個を製造する」と決めただけでは、判断はまだ半分です。それだけでは、在庫が不足する前にブラケットが完成するかも、生産枠を確保するためにどの顧客向け作業を動かす必要があるかも分かりません。

承認済みの補充と、今週納期の顧客注文で、同じマシニングセンタを使う場合を考えてみてください。補充専用のリストの先頭に載せるだけでは、設備の取り合いが見えなくなります。共通のスケジュールに組み込めば、まだ判断する時間があるうちに、何を優先し、何を動かす必要があるかを把握できます。

こうした共通スケジュールの管理を容易にするのが、SkyPlanner APSです。スケジューリングAIのArcturusは、設定された生産リソース、シフト、優先順位、工程間の依存関係、資材を基に作業スケジュールを計算します。ガントチャートでは、他の注文と並べて、補充をどこに組み込めるか、いつ完了する予定かを確認できます。在庫リストと各設備の作業待ちを突き合わせる手間が減り、納期を守るための判断根拠が明確になります。

SkyPlannerには、在庫数量の低下を知らせ、補充オーダーの作成を促すアラート機能があります。最小在庫水準、最大在庫目標、補充数量、承認については、生産計画担当者と合意するか、ERP/MRPで決定してください。その後、SkyPlannerで承認済みの作業を顧客注文とともにスケジュールに組み込みます。これにより、在庫補充の判断を工場共通の生産計画に反映できます。

資材を考慮するスケジューリング機能を有効にし、対象資材の情報を適切に管理していれば、その資材を使用する作業の実行時に利用可能かどうかも計算に反映されます。購入資材のスケジュールには、購買発注の入荷予定日を使用します。入荷予定日や優先順位が変わった場合は、影響を受ける作業を一つずつ手動で動かすのではなく、共通の計画を再計算して影響を確認できます。

SkyPlannerは、公開REST APIを通じてあらゆるERPやMESと連携できます。補充方針を管理する既存のシステムはそのまま使い、そこで承認されたオーダーを、実際の生産能力を考慮した生産スケジュールにつなげられます。

見込生産での活用例

Opes Corporationは、見通しの立つ顧客の引取予定に合わせて見込生産を行っています。SkyPlannerの導入前は、Excelと別の倉庫管理アプリケーションを使い、データが分散していました。Visma Novaとの連携を段階的に進めることで、これらの情報を生産計画につなげました。

同社によると、SkyPlannerによってチームは生産能力を明確に把握できるようになりました。小口の特急注文や製品開発の試作が入ると、更新した生産計画で納期への影響を確認できます。計画の変更をより迅速に行え、計画担当者は各作業の関係も把握できます。

補充管理においても、この点が重要です。在庫品の需要が安定していても、例外への対応は必要です。共通のスケジュールがあれば、作業待ちを個別に管理するのではなく、既存の納期約束を踏まえて追加作業を判断できます。

実際の補充案件で方針を検証する

繰り返し使用する品目を一つ選びましょう。使用可能な在庫残高、未入荷の供給予定、計算対象に含める確定需要、リードタイムを確認します。それを基に補充のしきい値と在庫目標を設定し、不足分を計算して、その数量が実際にいつ必要になるかを確認してください。

次に、承認済みの補充案件と、それと設備などが競合する顧客注文をSkyPlannerのデモにお持ちください。それぞれの工順で生産能力をどう分け合うか、補充がいつ完了するか、資材の入荷が遅れたらどうなるかを確認しましょう。在庫数量の計算だけでは分からない、実際に生産へ移せる補充判断の姿が見えてきます。

自社工場の状況に沿って検討するには、SkyPlannerのデモを予約してください。まずはデモデータでSkyPlannerを試すこともできます。目指すことはシンプルです。必要な分を補充し、重複発注を防ぎ、現場が実行できるスケジュールに作業を組み込むことです。

Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

SkyPlannerで、わかりやすい生産スケジュールを

データを連携し、最初の計画を確認。本番稼働するすべてのスケジュールは計画担当者が最終判断します。