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製造業の棚卸資産回転率:計算方法と改善策

棚卸資産回転率を計算し、原材料・仕掛品・製品のどこに資金が滞留しているかを把握。納品に支障をきたさず、生産の流れを改善する方法を解説します。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月23日 3 分で読めます
Metal blanks, trays of unfinished brackets waiting for coating, and finished goods show inventory across a factory.
この記事の内容
  1. 棚卸資産回転率の計算方法
  2. 売上高ではなく売上原価を使う
  3. 実態を反映した平均在庫を求める
  4. 対象期間を明示する
  5. 製造業での計算例
  6. 棚卸資産回転率の適正値は?
  7. 原材料・仕掛品・製品のどこに原因があるかを探る
  8. 原材料:供給を守る在庫と余剰在庫を分ける
  9. 仕掛品:次工程に進めない理由を探る
  10. 製品在庫:完成と販売は別のこと
  11. SkyPlannerで資材の入荷と必要な作業を連動させる
  12. Piristeelでは何が変わったか
  13. 在庫全体でも改善しているか確認する

ホーム » リソース » 製造業の棚卸資産回転率:計算方法と改善策

推定読書時間: 10 分

在庫金額は増えているのに、工場では必要な部品が足りない。手つかずの資材がある一方で、仕掛品が設備間で滞留し、完成した製品が場所を占めているのに、顧客から求められるのは別の品目。すべての在庫を一律に減らせば在庫金額は下がりますが、それで生産がよくなるとは限りません。

棚卸資産回転率は、一定期間に平均在庫の何倍に相当する在庫を販売し、補充したかを示す指標です。売上原価を平均在庫金額で割って計算します。製造業では、原材料、仕掛品、製品がこの在庫に含まれます。

計算後に問うべきなのは、在庫のどの部分が不要で、なぜそこに滞留しているのかということです。早すぎる着手や、設備ごとにばらばらに管理された加工待ちが在庫を増やしている場合、SkyPlanner APSは、資材、生産能力、製造指図の優先順位を1つの生産スケジュールで調整するのに役立ちます。設備ごとの待ち行列の調整に毎日追われるのではなく、生産途中の不要な待ちを減らせます。

棚卸資産回転率の計算方法

計算に使う2つの数値は、対象期間と原価の評価基準をそろえます。

棚卸資産回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額

結果はパーセントではなく、その期間中の回転数で表します。年間売上原価を同じ年の平均在庫金額で割ると、年間の回転数が得られます。

売上高ではなく売上原価を使う

売上原価(COGS)とは、対象期間に販売した製品に対応する原価です。製造業では、その製品にかかった材料費、直接労務費、配賦された製造間接費が含まれます。数値は、社内で合意された会計記録から取得してください。

売上高には利益が含まれるため、売上高を原価ベースの在庫金額で割ると、別の指標になります。仕入高も代わりにはなりません。仕入れた資材の一部が、まだ在庫として残っている可能性があるからです。また、製品製造原価と売上原価も同じではありません。完成した製品が、売れずに製品在庫として残ることがあるためです。

実態を反映した平均在庫を求める

まずは、次の簡単な式で計算できます。

平均在庫金額 = (期首在庫金額 + 期末在庫金額) ÷ 2

季節変動がある工場や、大量の資材をまとめて受け入れる工場では、2時点の残高だけでは年間の実態を十分に捉えられないことがあります。その場合は各月末の残高を平均するか、在庫変動が激しければ、さらに短い間隔で記録した数値を使います。期間を比較する際は、集計方法を統一してください。

原材料、仕掛品、製品の3段階すべての金額を含め、各品目は現在の段階で一度だけ計上します。仕掛品に計上するのは、その時点までに累積した原価であり、完成品の原価全額になるとは限りません。評価方法の変更、入庫記録の漏れ、完成実績の未計上を、実際のモノの流れの変化と取り違えないよう、経理部門と残高を照合しましょう。

対象期間を明示する

年間売上原価には同じ年の平均在庫金額を、四半期の売上原価には同じ四半期の平均在庫金額を使います。四半期の回転率が示すのは、その四半期中の回転数であり、年間の回転数ではありません。季節性の影響を受ける四半期の数値を単純に4倍すると、年間の実態を見誤ることがあります。

在庫の移動回数も、回転率とは別のものです。パレットを倉庫から機械加工へ、さらに仕上げ工程へ移せば、在庫移動は発生します。しかし、その在庫を3回販売して補充したことにはなりません。

製造業での計算例

年間売上原価が$3,600,000の製造業を例に考えます。定期的な在庫記録から求めた、同じ年の平均在庫金額は次のとおりです。

在庫区分平均在庫金額
原材料・購入部品$300,000
仕掛品$420,000
製品$180,000
在庫合計$900,000

計算は次のようになります。

$3,600,000 ÷ $900,000 = 年間4回転

その年の売上原価ベースで、平均在庫金額の4倍に相当する製品を販売したことになります。すべての部品や製品が、それぞれ4回転したという意味ではありません。頻繁に使う締結部品も、陳腐化した組立品も、同じ会社全体の平均に含まれ得ます。

同じ関係を日数で表すこともできます。

棚卸資産回転日数 = 対象期間の日数 ÷ 棚卸資産回転率

年間の日数を365日とすると、次のとおりです。

365 ÷ 4 = 91.25日

これは、過去の実績を原価ベースで集計した指標です。個々の受注の処理に91.25日かかることや、現在の利用可能在庫で今後91.25日分の需要を賄えることを保証するものではありません。実際の受注リードタイムと、今後の需要に対して在庫が何日分あるかは、それぞれ別の指標で確認します。

棚卸資産回転率の適正値は?

すべての製造業に共通する適正値はありません。必要な在庫量は、製品構成、仕入先のリードタイム、工順、季節性、顧客に約束するサービス水準によって変わります。工程の長い設備メーカーと、使用期限の短い標準品を作るメーカーに、同じ目標を当てはめるべきではありません。

まずは自社の比較可能な期間や製品群で比較します。そのうえで、在庫の対象範囲と計算方法が自社と同じかを確認しながら、同業他社の数値を参考にしましょう。製品在庫だけを対象とする回転率と、原材料や仕掛品も含む回転率は、そのまま比較できません。

回転率の推移は、納期遵守率、欠品、生産量、在庫の滞留期間と併せて判断します。

  • 需要は変わらず、在庫が増えて回転率が低下している場合:過剰な購入、早すぎる生産着手、工程での滞留、売れなくなった製品がないか調べます。
  • 納品が安定し、平均在庫が減って回転率が上昇している場合:在庫に拘束される資金を減らしながら、需要に対応できている可能性があります。
  • 回転率が上昇する一方で、欠品や緊急輸送が増えている場合:安定した生産・供給に必要な水準を下回るまで、在庫を削減している可能性があります。
  • 原価や評価方法の大幅な変更後に回転率が変わった場合:実際の流れが速くなったのではなく、会計上の金額の変化がどの程度影響したのかを確認します。

全体の回転率が高くても、ある製品群では不動在庫が、別の製品群では欠品が隠れていることがあります。目標は、回転率を最大限に高めることではなく、不要な在庫を減らしながら顧客への安定供給を実現することです。

原材料・仕掛品・製品のどこに原因があるかを探る

全体の回転率は、調査の出発点になります。区分別の内訳を見ると、どの部門が対応すべきかを判断しやすくなります。

在庫が積み上がっている区分調査する項目最初に取り組むこと
原材料購入数量、入荷時期、需要の変化、使用できない在庫、または供給を守るために必要なバッファ在庫追加購入の前に、今後の所要量を使用可能在庫と発注残に照らして確認する
仕掛品早すぎる着手、後工程のリソースの過負荷、部品不足、品質上の保留滞留している製造指図の残りの工順をたどり、次工程に進めない原因を特定する
製品需要を先取りしすぎた生産、需要のキャンセル、出荷保留、売れ行きの鈍い製品完成在庫を実際の需要と照合し、今後の補充を見直す

原材料:供給を守る在庫と余剰在庫を分ける

動きの遅い部品でも、重要な顧客との約束を守るために必要な場合があります。削減する前に、欠品した場合の影響と、確実に補充できるかを確認しましょう。妥当な根拠に基づいて確保する安全在庫と、入荷予定が見えず二重発注した資材は別物です。

在庫区分ごとの回転率を求める場合は、分子に使う金額もその区分に対応させます。この例の工場で、年間原材料消費額$1,800,000を平均原材料在庫$300,000で割ると、原材料の回転数は6回になります。これは生産への投入・消費を測るもので、工場全体の在庫の販売を測るものではありません。全体の回転率である4回に代わる数値ではありません。

売上原価の総額を各区分の在庫残高で割り、その結果を直接比較できる区分別回転率として扱わないでください。材料費、加工費、完成品の原価では、含まれる原価の範囲が異なります。対応する区分の流出額が得られる場合はそれを使い、滞留期間や待ちの原因も調べて、生産上の問題を特定しましょう。

仕掛品:次工程に進めない理由を探る

この例では、仕掛品の平均在庫金額が最も大きいため、重点的に確認する必要があります。だからといって、新たな着手をすべて止めるわけではありません。待ち時間が最も長い製造指図や、多額の原価が積み上がった製造指図を特定し、残りの工程、必要資材、約束した納期を確認します。

例えば、あるロットの機械加工は月曜日に終わるものの、塗装工程では金曜日まで受け入れられないとします。別の製造指図では、必要な購入部品が翌週まで届きません。どちらも早く着手すれば最初の設備は稼働し続けますが、その先へ進めない仕掛品が生まれます。

これは工程間の調整の問題です。必要なのは、各設備を稼働させておくための個別の指示ではなく、工順全体を見通した計画です。能力に制約のあるリソースを止めないために、着手可能な作業をある程度用意しておく必要はあるでしょう。無駄になるのは、その先へ進める見通しがないまま投入された作業です。

製品在庫:完成と販売は別のこと

製造指図が完了して仕掛品ではなくなると、生産が改善したように見えても、同じ品物が倉庫に残っている場合があります。次の補充ロットを生産する前に、すでに完成している製品と、それを裏付ける顧客需要が今もあるかを確認しましょう。

需要がなくなったために製品在庫が長期滞留しているなら、販売面の対策、製品に関する判断、または合意した方法での処分が必要です。生産スケジュールを組み直して生産を増やしても、失われた需要は生まれません。出荷や書類手続きが保留になっている場合は、生産能力の不足として扱うのではなく、その保留の解消に取り組みましょう。

SkyPlannerで資材の入荷と必要な作業を連動させる

調査の結果、早すぎる着手や作業待ちの競合が問題だと分かったら、SkyPlannerを使って残りの作業を関係者で共有できる生産スケジュールにまとめましょう。スケジューリング用の人工知能Arcturusが、設備などの生産リソース、シフト、作業者、各工程の所要時間、依存関係、設定した優先順位に基づいて作業順序を計算します。Gantt表示では、各リソースに作業がどのように割り当てられているかを確認できます。

資材の利用可否を考慮するスケジューリングを有効にすると、在庫の利用可否も計算に反映されます。発注書の納入予定日は、資材が利用可能になる見込み日を示します。資材が入荷し、納入済みであることが確認されると、在庫残高が更新されます。これにより、入荷予定の資材を手元にある在庫と混同せず、計画に役立つ情報として活用できます。

仕入先が納入予定日を変更したら、その日付を更新してスケジュールを再計算します。購買リストと複数の設備の作業待ちリストを別々に修正するのではなく、影響を受ける工程を、生産能力や同じリソースを取り合う他の製造指図と併せて確認できます。

先ほどの待ちが発生する機械加工ロットで判断すべきなのは、前工程を今実行するか、それとも別の製造指図を進める方が有効かという点です。優先順位は担当者が設定し、Arcturusはそのルールに従ってスケジュールを計算します。これにより、出荷すべき製造指図を優先しながら、今進めるべきでない作業に資材や加工の手間を早く投入しすぎることを避けやすくなります。

着手を遅らせても、すでに購入した資材がなくなるわけではありません。財務面の改善につながるのは、原材料を仕掛品に振り替えるだけでなく、生産の流れ全体で不要な在庫を減らしながら需要に応えることです。工程や資材と連動したスケジュールがあれば、こうした変更を調整し、実行前に納期への影響を確認できます。

SkyPlannerは、公開されたREST APIを通じてあらゆるERPやMESと連携できます。独立した計画をもう一つ管理するのではなく、既存の受注データや生産データをスケジューリングに結び付けられます。

Piristeelでは何が変わったか

屋根用安全製品と雨水排水システムを製造するPiristeelは、以前は大ロット生産とバッファ在庫に頼っていました。生産は順調に見えても、多額の在庫を抱え、部門間で状況を把握しにくかったため、変更への対応が難しくなっていました。

PiristeelのSkyPlanner導入事例では、3つの生産部門にわたる詳細なスケジューリング、共有のGantt表示、Visma Novaとの連携が紹介されています。同社では、小ロット生産の調整がしやすくなり、在庫の入出庫などの情報がリアルタイムでERPに転送されることで、在庫精度も向上しました。円滑な操業のために、大量のバッファ在庫を持つ必要はなくなりました。

棚卸資産回転率との関係で注目すべきなのは、業務の進め方が変わった点です。状況の可視化と調整が進み、計画で管理する代わりに在庫に頼る必要が減りました。生産時期の不確実さを補うために過剰在庫を抱えている工場にとって、これは在庫情報とスケジューリングを結び付ける実務上の理由になります。

在庫全体でも改善しているか確認する

先ほどの架空の製造業の計算例に戻りましょう。年間売上原価は同じ$3,600,000のまま、平均仕掛品在庫が$420,000から$240,000になり、他の在庫区分の平均額は変わらないとします。この場合、平均棚卸資産総額は$720,000になります。

$3,600,000 ÷ $720,000 = 年間5回転

365 ÷ 5 = 棚卸資産回転日数73日

同じ売上原価に対して、平均在庫額が$180,000少なくなったことになります。これは$180,000の利益でも、自動的に得られる現金収入でもありません。他の在庫区分への振替や評価額の調整ではなく、実際に在庫が減っていること、そして安定した納品を維持できていることを確認しましょう。

最初の改善では、回転の遅い製品群を1つ選びましょう。在庫区分ごとの在庫、滞留期間と待ちの理由、資材の入荷予定日、残りの工順を記録します。購買、生産、顧客への納期回答を担う担当者と変更内容について合意し、その後、比較可能な期間で回転率と顧客への供給状況を併せて評価しましょう。

その工順と、最近の着手が早すぎた作業の例を用意して、SkyPlannerのデモを予約しましょう。資材の入荷予定日、競合する製造指図、利用可能な生産能力を、1つのスケジュールにどう組み込めるかを確認できます。まずはご自身でシステムを確認したい場合は、デモデータでSkyPlannerをお試しください。計算によって資金が在庫のどこに固定されているかが分かり、各工程や資材と連動した計画によって、その状態を生んでいる作業の進め方を変えやすくなります。

Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

SkyPlannerで、わかりやすい生産スケジュールを

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