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ミルクラン方式:工場内の資材供給を滞らせないために

工場でミルクラン方式を機能させるには。消費量に合わせて巡回配送を設計し、ライン脇の欠品を防ぎ、資材の利用可能状況を生産計画に反映します。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月27日 2 分で読めます
A factory milk run links a supply rack and assembly stations, delivering full bins and returning empty containers.
この記事の内容
  1. 製造業におけるミルクラン方式とは
  2. ミルクラン方式が適しているのはどのような場合か
  3. 運行時刻を決める前に、補充の循環を設計する
  4. まず各リソースでの消費量を把握する
  5. 30分ごとの巡回でも、補充待ちが1時間になる理由
  6. 巡回に伴う作業全体を、設定した間隔内に収める
  7. 積載と回収の流れを確認する
  8. 一つのルートで試行し、問題の原因を見極める
  9. 供給した部品を使う作業を、実行可能な生産計画に組み込む
  10. 顧客の生産現場での実践例
  11. 資材に関する判断を工場の生産スケジュールにつなげる

ホーム » リソース » ミルクラン方式:工場内の資材供給を滞らせないために

推定読書時間: 10 分

資材運搬車が30分おきに巡回しているのに、組立セルでは部品が切れてしまう。そんな状況を考えてみてください。定期的に巡回していても、補充が間に合っていないのです。

ここに、ミルクラン方式を導入しただけの状態と、実際に機能している状態の違いがあります。ミルクラン方式は、決まったルートを繰り返し巡回し、複数の地点で資材を集荷または配送する仕組みです。工場内では、個別に何度も補給する代わりに、部品の配送と空容器の回収を定期巡回にまとめられます。

確認すべきなのは、「このルートを30分ごとに回れるか」だけではありません。「補充品が届くまで、各リソースで使える資材が足りるか」が重要です。まずはこの問いに答え、そのうえで資材の利用可能状況を生産計画に反映します。SkyPlanner APSは、その資材を使う作業を工場内のほかの作業と合わせてスケジュールするのに役立ちます。影響を受ける各設備の作業順を、一つひとつ手作業で組み直す必要はありません。

製造業におけるミルクラン方式とは

工場内のミルクラン方式とは、倉庫やスーパーマーケット(補充用資材を管理する保管場所)などの供給元と、複数の生産リソースを結び、資材を繰り返し供給する巡回方式です。ルートと巡回間隔はあらかじめ定めますが、積み荷は消費状況に応じて変わります。実入り容器を所定の受け渡し場所へ届け、空容器と補充の合図を供給元へ戻すことで、補充の循環が成り立ちます。

ミルクランという言葉は、トラックが複数の仕入先から部品を集荷して工場に戻るような、工場外の物流にも使われます。本ガイドが扱うのは、工場内の生産現場への供給です。ここで重要なのは、利用できる在庫を、それを必要とするリソースへ確実に引き渡すことです。

ミルクラン方式とかんばん方式は、役割が異なります。かんばんは、消費に応じて補充を指示する仕組みです。一方、ミルクランは資材そのものを運びます。空容器を補充の合図にする場合もありますが、その合図を確認したからといって、補充品がすでに配送中とは限りません。

この二つの役割を分けて考えると、欠品の原因を突き止めやすくなります。現場からの補充の合図が遅れたのか。供給元に使える在庫がなかったのか。ピッキングが出発に間に合わなかったのか。それとも、現場の在庫が尽きた後に運搬車が到着したのか。原因によって、必要な対策は異なります。

ミルクラン方式が適しているのはどのような場合か

まず検討すべきは資材の流れであり、運搬車の購入ではありません。近接する複数の配送先で繰り返し需要が発生し、扱いやすい容器を使い、供給元で補充品を確実に準備できる流れが適しています。複数の補給需要を一度に満たせるからこそ、定期巡回に意味があります。

シフト内での消費のパターンを確認しましょう。一日を通して一定のペースで使う部品と、特別注文のために一度だけ必要になる大型部品とでは、供給の考え方が異なります。1日当たりの平均数量だけを見ると、どちらも巡回供給に適しているように見えるかもしれませんが、実際に必要な運び方は大きく違います。

資材の流れの状況まず検討したい供給方法
複数のセルで、小型容器に入った共通部品を繰り返し消費する補充の合図と巡回間隔を定め、複数のセルにまとめて供給するミルクランを試す。
1か所への配送量だけで、毎回ほぼ満載になる無関係な立ち寄り先を加える案と、専用便で供給する案を比較する。
大型部品や高価な部品が、不定期の決まったタイミングで必要になる毎回の巡回に備えて在庫を持つのではなく、必要な時刻に合わせた別便での配送を検討する。
各配送先で補給が必要になることが少なく、大半の巡回で積み荷が少ないルートの規模を見直すか、需要に応じた供給に切り替える。
生産する品種の組み合わせが変わると、消費量が大きく変動する巡回間隔と容器数を固定する前に、消費量が多くなる品種の組み合わせで具体的に確認する。

実務では、複数の方法を組み合わせるのが有効なことも多いでしょう。適した部品は定期巡回で供給し、それ以外は例外として扱う手順を定めます。ミルクラン方式のメリットを得るために、工場内のすべての資材を一つのルートに載せる必要はありません。

期待できるメリットは明確です。複数の供給先をまとめて巡回すれば個別の補給往復が減り、補充間隔が安定すればライン脇の在庫量を少なく設定できます。作業者が部品の確保に追われる時間も減らせます。ただし、こうした効果を得るには補充の循環全体が機能していなければなりません。積み荷が少ないから失敗とはいえず、満載だからといって生産現場へ適切に供給できている証拠にもなりません。

運行時刻を決める前に、補充の循環を設計する

ルート図から分かるのは、運搬車がどこを通るかです。実際に機能する供給の仕組みを設計するには、何をきっかけに補充を始め、その情報がいつ供給元に伝わり、どの巡回で補充品が届くのかまで明らかにする必要があります。

まず各リソースでの消費量を把握する

部品と配送先の組み合わせごとに、容器当たりの数量、対象とする生産品種の組み合わせでの想定消費量、受け渡し場所、利用できるスペースを確認します。供給元の場所と、次の積み荷を準備する担当者や工程も明確にしましょう。こうした情報は、PFEP(部品ごとの供給計画)にまとめておくと便利です。

次に、一つの容器が循環する過程を追ってみましょう。いつ空になるのか。それをどう伝えるのか。いつピッキングを始められるのか。補充品を届けられるのは次の巡回なのか、それともその次なのか。測るべきなのは倉庫からの走行時間だけではありません。実際に補充のきっかけが発生してから、現場で資材を使えるようになるまでの時間です。

残りの在庫で賄うべきなのは、この補充までの待ち時間です。さらに、仕組みとして吸収したい変動に応じて、余裕を意図的に設定します。根拠を示さずに容器を余分に積み、その中に余裕分を埋もれさせてはいけません。

30分ごとの巡回でも、補充待ちが1時間になる理由

安定して生産している時間帯に、組立セルが同じ部品を毎時60個使うとします。各容器には部品が20個入り、ミルクランは30分ごとに巡回します。

容器1個分の部品は20分でなくなり、巡回と巡回の間には30個の部品を消費します。ただし、このどちらの数字だけでも、補充の循環に必要な容器数は決まりません。

運搬担当者が空容器を回収し、それを補充の合図にする場合を考えます。巡回の直後に容器が空になると、回収されるのは次の巡回、つまり30分近く後です。その後、供給元で補充品を準備し、さらに次の巡回で届けます。準備がその巡回に間に合うとしても、補充の合図が発生してから補充品が届くまでの待ち時間は60分近くになります。

想定した消費ペースでは、その待ち時間中にセルで必要になる部品は60個近くです。つまり、実入り容器3個分に相当する部品が、残りの在庫として必要になります。これは、遅延や消費量の変動に備えて設定する余裕分を含める前の数量です。巡回間隔の間に使う30個だけを数えると、待ち時間の半分を見落としてしまいます。

一方、次の出発までにピッキングと積み込みを済ませられるだけ早く補充要求が供給元に届けば、次の巡回で補充できる可能性があります。ただし、それには情報の流れを変える必要があります。同じルートを維持するだけで得られる効果ではありません。

循環させる容器数は、実際に補充の合図が伝わるタイミングと準備工程の所要時間に基づいて決めます。「2巡回分」というルールが、すべてのミルクランに当てはまるわけではありません。また、循環全体で使う容器数と、各時点でリソースの周辺を占めるスペースは別の話です。

巡回に伴う作業全体を、設定した間隔内に収める

運行時刻は、実際の作業を観測して組み立てます。移動と停車、配送時の荷扱い、空容器の回収、補充の合図の処理、回収品の荷下ろし、次の出発準備まで含めましょう。走行だけなら20分のルートでも、実際の運用にははるかに長い時間がかかる場合があります。

例えば、30分ごとの巡回案について、移動に8分、各停車地点での荷扱いに10分、回収品の荷下ろしと次の巡回分の積み込みに5分、点検と補充の合図の処理に3分かかるとします。合計は26分で、次の出発予定時刻まで4分の余裕があります。

これらは説明のための仮定であり、推奨する余裕時間ではありません。通常のばらつきや休憩、シフトの引き継ぎがあっても、その余裕で対応できるか検証してください。作業全体が収まらなければ、巡回先の組み合わせ、荷扱いの方法、供給体制、巡回頻度を変えます。必要な作業を除外して、帳尻だけを合わせてはいけません。

積載と回収の流れを確認する

平均的な巡回だけでなく、想定される中で最も荷量が多い巡回を確認します。実入り容器を積み、必要な順序で届けられるでしょうか。配送が進むにつれて回収する空容器は、どこに置くのでしょうか。各配送先には、受け取る資材を置くための所定のスペースが十分にあるでしょうか。

運搬機器で認められている使用限度と、現場の通行・荷扱いに関する要件に従ってください。車両の選定や通行ルールの設定には、現場ごとの評価が必要です。ルートの略図だけで、その評価を済ませることはできません。

配送だけでなく、回収して戻す工程にも同じだけ注意を払いましょう。今回の巡回が時間どおりに到着しても、空容器が戻ってこない、補充の合図が分かりにくい、詰め替え待ちの容器が滞留しているといった問題があれば、次の巡回に支障が出ます。

一つのルートで試行し、問題の原因を見極める

対象とする作業場所と部品の範囲を絞り、ルートの責任者を決め、補充要求に応えられない場合の対応を取り決めます。出発時に運搬担当者が不足に気づいてからではなく、事前に不足時の報告先と対応手順を定めておく必要があります。

試行中は、巡回の予定時刻と実績、未対応の補充要求、緊急配送を記録します。供給元に使用可能な在庫があるにもかかわらず、作業場所で欠品が起きた場合も記録してください。作業者の動きも確認しましょう。部品を取りに持ち場を離れる状態が続いているなら、その巡回はうまく機能していません。

記録した事実を、次のように原因別に検討します。

  • 到着が遅れた場合は、巡回中の作業、割り込み、出発時刻が守られているかを確認します。
  • 時間どおりに到着しても荷物が間違っている場合は、補充の合図、準備作業、品物の識別方法を確認します。
  • 正しく納品した後に欠品した場合は、消費量、容器当たりの数量、補充タイミングの想定を確認します。
  • 作業場所で過剰在庫が続く場合も、同じ想定を逆の方向から見直します。

巡回ルートを拡大する前に、代表的な繁忙時間帯や製品構成で試行してください。搬送の手間だけでなく、生産の中断や緊急対応も比較します。そうしなければ、一見効率的な巡回でも、待ち時間のコストを生産側に移しているだけになりかねません。

供給した部品を使う作業を、実行可能な生産計画に組み込む

巡回がうまく機能すれば、部品を作業場所までどう届けるかという物理的な課題は解決します。一方、生産計画では別の問いに答える必要があります。工場内のほかの生産要求も踏まえて、その部品を使う作業をいつ実行できるか、という問いです。

倉庫に在庫があるというだけでは、部品が使用場所に届いているとは限りません。資材供給の手順では、この受け渡しを明確にしてください。生産で使用する資材の利用可能情報には、合意した現場の運用実態を反映する必要があります。在庫残高を、現時点での納品完了の確認として扱ってはいけません。

資材の状況変化に合わせて設備ごとの作業順を手作業で調整しているなら、次の一歩としてSkyPlanner APSが適しています。資材の利用可能状況を考慮するスケジューリングを有効にすると、生産作業で使う資材について、記録された利用可能情報が計算に反映されます。Arcturusは、設定されたリソース、シフト、優先順位、工程間の依存関係に基づいて作業をスケジューリングします。ガント表示では、その結果としての作業順と完了日への影響を確認できます。

これにより、資材リストと設備ごとの作業順を別々に管理して突き合わせる代わりに、一元化された生産計画を使えるようになります。資材の利用可能状況が変わると、影響を受ける作業をまとめてスケジュール計算で処理するため、担当者は優先順位の判断と約束した納期の見直しに取り組めます。

例えば、購入部品を工場内の供給プロセスを通じて組立工程へ届ける場合を考えてみましょう。その部品の仕入先からの入荷が遅れたとします。SkyPlannerでは、発注書の納入日が資材の利用可能予定日を表し、入荷済みとして確定すると在庫が更新されます。入荷予定を更新してスケジュールを再計算すれば、影響を受ける生産作業は、工場のほかの制約も踏まえながら、その日付に合わせて調整されます。

これなら生産計画担当者は、実行不可能な開始予定を何とか間に合わせようと工場内物流に対応を求める前に、生産への影響を評価できます。ただし、部品を決められた場所まで届けるのは、引き続き工場内の巡回搬送の役割です。発注情報に基づくスケジューリングが、現物の受け渡しに代わるわけではありません。

顧客の生産現場での実践例

板金加工を受託するKJH-Compでは、以前はC9000と表計算ソフトで週単位の大まかな負荷計画を立て、日々の設備への作業割り当ては手作業で行っていました。同社は既存のERPを維持したまま、有限能力スケジューリングのためにSkyPlannerを導入しました。

KJH-Compの運用では、溶接前の部品集約工程で、作業に必要な部品が購入部品も含めてすべてそろっていることを確認してから、その作業を待ち行列に入れます。SkyPlannerは設備への作業割り当ても行い、現場責任者はスケジュール上のボトルネックを確認できます。

この事例の要点は、準備状況と次に実行する生産作業を結び付けることです。資材供給の巡回を設計した後にも、このつながりが必要になります。工場では週単位の合計量だけでなく、実際に実行できる内容に基づいて作業順を組むべきです。導入の全容は、KJH-CompによるSkyPlannerの導入レビューをご覧ください。

資材に関する判断を工場の生産スケジュールにつなげる

複数の供給先へ繰り返しまとめて配送する方法が資材の流れに適しているなら、ミルクラン方式を活用しましょう。補充の合図、準備作業、空容器などの回収の流れ、各作業場所で次の補充まで必要な量を明確にします。そのうえでSkyPlannerを使い、適切に更新・管理された資材の利用可能情報と実際の生産能力に合わせて、その資材を使う生産作業を調整します。

SkyPlannerは、公開REST APIを通じてあらゆるERPやMESと連携できます。受注を管理する既存システムをそのまま使い、その生産データを一元化されたスケジュールにつなげることで、資材の状況変化に合わせて設備ごとの作業順を調整する手作業を減らせます。

SkyPlannerのデモを予約して、1つの部品、その部品を使う作業、入荷の遅れを題材に説明を受けてみてください。どの工程の日程が変わり、納期にどう影響するかを見せてもらいましょう。自社の生産にとっての価値を具体的に判断できます。まずは自分で操作してみたい方は、デモデータでSkyPlannerをお試しください。

Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

SkyPlannerで、わかりやすい生産スケジュールを

データを連携し、最初の計画を確認。本番稼働するすべてのスケジュールは計画担当者が最終判断します。