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製造業の時間研究:実務で使える標準時間の求め方

従来の工程見積もりを、根拠ある標準時間へ。作業の調査、レイティングと余裕時間の扱い、SkyPlannerでの計画への活用を解説します。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月17日 3 分で読めます
Manual assembly in a fixture beside a stopwatch and observation records for a manufacturing time study.
この記事の内容
  1. 観測時間・正味時間・標準時間の違い
  2. 作業に合った測定方法を選ぶ
  3. 1. 測定を始める前に作業方法を定める
  4. 2. 作業要素・発生頻度・例外を記録する
  5. 3. 手作業の観測時間を正味時間に換算する
  6. 4. 根拠と計算基準を明確にして余裕時間を加える
  7. 計算例:観測時間から標準時間を求める
  8. 5. 標準時間を検証・承認し、継続的に管理できる状態にする
  9. 標準時間を適切なリソース負荷に置き換える
  10. 精度を高めた所要時間をSkyPlannerで活用する

ホーム » リソース » 製造業の時間研究:実務で使える標準時間の求め方

推定読書時間: 11 分

製造業の時間研究では、内容を明確に定めた作業を測定し、所定の条件でどれだけの時間を要するべきかを求めます。ストップウォッチによる直接測定では、作業を要素に分けて所要時間を観測します。そのうえで、必要に応じて標準的な作業ペースに補正し、根拠のある余裕時間を加えて標準時間を設定します。

重要なのは、作業が明確に定められていることです。先月の作業実績の平均には、異なる作業方法や材料不足による待ち時間、習熟に要した時間が混在しているかもしれません。最も速い作業者を測定すれば別の数値は得られますが、それがより適切な標準になるとは限りません。

有用な時間研究から得られるのは、根拠を説明でき、妥当性を検証でき、作業が変われば更新できる時間です。SkyPlannerは、その現実的な工程所要時間を受注残全体の計画に活用するのに役立ちます。ERPの数値を修正した後、影響を受ける各設備の作業順をすべて手作業で組み直す必要はありません。

観測時間・正味時間・標準時間の違い

この3つの時間は、それぞれ異なる意味を持ちます。

時間の種類意味把握すべき事項
観測時間記録した作業に実際にかかった時間作業方法、測定の開始・終了点、観測時の条件
正味時間定められた作業を基準の作業ペースで行う場合の時間作業ペースに左右される手作業について、根拠に基づいて評価したレイティング
標準時間正味時間に、適用すべき余裕時間を加えた時間適用する余裕時間の種類と計算方法

標準時間は最速記録ではありません。訓練を受けて習熟した作業者が、定められた方法で基準のペースで作業する時間に、必要な余裕時間を加えたものです。

また、人の作業の標準時間が、そのまま設備を確保すべき時間になるわけでもありません。作業者が前の部品を検査している間に、設備は次の加工を進められる場合があります。時間研究の全体を通して、この違いを明確にしておきましょう。まず作業そのものに必要な時間を求め、その後で各リソースにかかる負荷を判断します。

作業に合った測定方法を選ぶ

ストップウォッチによる直接測定は、各要素を観察できる、安定した反復作業に適しています。既存の標準を別の見積もりに置き換えるだけでなく、なぜ標準が実態と合わないのかを理解したい場合に有効です。

状況によっては、別の方法が適しています。

  • 類似作業に既存の要素時間を活用する場合。作業方法と時間に影響する要因が一致していれば、妥当性が検証された標準時間データ体系を用いて、確立済みの要素時間を組み合わせられます。異なる製品をひとまとめにして平均を取らないでください。
  • 生産開始前に手作業の方法を設計する場合。既定時間標準法を使えば、定義された動作から所要時間を組み立てられます。ストップウォッチ測定のレイティングを推測するのではなく、採用する手法の訓練を受けたうえで適用する必要があります。
  • シフト中の時間の使われ方を把握したい場合。ワークサンプリングでは、各活動や遅れが占める時間の割合を推定します。余裕時間を評価する資料にはなりますが、それだけで短い作業要素ごとの詳細な所要時間が得られるわけではありません。
  • 工程の条件によって所要時間が決まる場合。プログラムや工程パラメータから設備の処理時間を計算または検証し、作業者の作業は別に調査します。

過去の作業記録も、有用な根拠資料です。ただし、標準として扱う前に、何が含まれているかを確認してください。材料不足による待ち時間を含む実績の経過時間だけでは、手作業そのものの正味時間は分かりません。

以下では、反復作業を直接測定する方法を中心に説明します。

1. 測定を始める前に作業方法を定める

より信頼できる標準時間を設定することで、実際の判断が変わる工程を選びます。例えば、負荷の高い組立ステーションや、所要時間が計画の想定からたびたび外れる繰り返し作業が対象になります。

製品と改訂版、設備、工具・治具、材料の供給・配置方法、作業順序、必要な品質確認を記述します。測定を開始・終了する具体的な時点も定めてください。結果が個当たり、サイクル当たり、ロット当たりのどれなのかを明確にし、単発の段取り作業は区別できるようにします。

記述した内容を、実際にその工程を担当する人と一緒に確認します。調査の目的と、結果をどのように使うのかを説明してください。現場の知識から、治具への補充や定期的な確認など、従来の見積もりでは抜けていた必須作業が見つかることも少なくありません。

訓練を受けた作業者が、確立された安全な方法で作業する様子を観測します。治具の設計変更が続いている場合や、作業者がまだ手順を習得中の場合は、まず作業方法を安定させてください。測定回数を増やしても、安定していない工程から信頼できる標準は得られません。

2. 作業要素・発生頻度・例外を記録する

ハウジングを治具に据え付けた時点、締結を終えた時点、検査を終えた時点など、明確に観察できる区切りで工程を分けます。作業ペースに左右される手作業と、設備側で時間が決まる処理は分離してください。容器交換のように時々しか発生しない作業は、毎個発生するものとして扱わず、その発生頻度とともに記録します。

各観測について、要素時間、関係する条件、使用したレイティングを残します。中断が起きたら、その都度記録してください。部品不足や工具破損があった場合は、出来事とその所要時間を別に記録します。長い測定値を説明なく削除したり、通常作業の平均に埋もれさせたりしないでください。

都合よく中断なく進んだ1回の生産だけでなく、普段の生産を代表する条件で観測を集めます。同じ方法と条件で、要素時間がある程度安定しているかを確認してください。安定していなければ原因を調べます。材料の供給・配置方法が異なるなら、作業方法を分ける必要があるかもしれません。一方、偶発的な測定ミスなら、修正内容を記録して訂正します。

何サイクル測れば十分かを一律に決めることはできません。必要な観測回数は、ばらつき、求める精度、標準時間を使って行う判断によって変わります。まず初期の観測データでばらつきを把握し、選定した信頼水準と精度の基準から必要なサンプル数を決めます。この評価は、作業測定の訓練を受けた分析担当者が行えます。普段とは異なる1回の生産でほぼ同じ値を10回測っても、代表性のある根拠の代わりにはなりません。

3. 手作業の観測時間を正味時間に換算する

各作業要素について、比較可能な測定値から代表的な観測時間を求めます。通常は算術平均を使います。除外した測定値があれば、その理由を残してください。観測ごとに作業ペースが異なる場合は、対応しない平均レイティングを一括して掛けるのではなく、それぞれの測定値を基準のペースに換算してから集計します。

レイティングは、観測した手作業のペースを、定められた基準のペースと比較して評価するものです。基準のペースを100%とする尺度では、次の式で計算します。

手作業の正味時間 = 手作業の観測時間 × レイティング係数

レイティングが110%なら、係数は1.10です。これは、観測した作業が基準のペースより速かったことを意味するため、正味時間は観測時間より長くなります。100%未満なら、逆方向に補正します。

レイティングは、従来のERPの標準時間に結果を合わせるために選ぶ割合ではありません。訓練を受けた評価者と一貫した基準が必要で、作業を観測しながら評価しなければなりません。レイティングの根拠を示せない場合は、基準のペースに換算済みの標準として提示せず、観測結果として残してください。

レイティングは、該当する手作業要素に適用します。工程全体の経過時間に一律に掛けてはいけません。投入作業を行う人のレイティングが110%でも、自動で進む3分間の加熱サイクルが長くなるわけではありません。観測ごとにペースが変わる場合は、実際に観測した内容を計算に反映できるよう、時間とレイティングを対応づけて保存します。

4. 根拠と計算基準を明確にして余裕時間を加える

正味時間だけでは、一日の作業に伴う必要な時間をすべて賄えません。用便などに必要な時間、作業による疲労から回復する時間、作業上避けられない遅れについても、適切に扱う必要があります。

余裕時間は、作業条件、採用する作業測定手法、対象となる活動や中断の実態に基づいて決めます。より広範な観測やワークサンプリングは、繰り返し発生する補助作業や遅れの時間を把握するのに役立ちます。一方、疲労回復に必要な時間は、作業内容と条件を評価して判断しなければなりません。他工場の余裕率をそのまま使っても、その評価を行ったことにはなりません。

時々発生する必須作業も見落とさないでください。定期的な容器交換をすでに作業要素に含めているなら、一般的な遅れに対する余裕時間に重ねて計上してはいけません。同様に、回避できる故障や材料不足による待ちを、すべて恒常的な作業時間に組み込むことも避けてください。こうしたロスは改善できるよう記録し、計画上どう扱うかを明確にします。

計算例:観測時間から標準時間を求める

安定した手作業の組立工程を想定します。以下の数値は計算を説明するための例であり、ここで使うレイティングや余裕率を貴社の工場に推奨するものではありません。表の各要素は組立品一個につき一回、順番に行われ、分析担当者が観測した手作業について110%のレイティングに根拠があると判断したものとします。

手作業要素採用する観測時間レイティング係数正味時間
ハウジングを取り付ける30秒1.1033秒
組立品を締結する40秒1.1044秒
検査してトレイに置く20秒1.1022秒
毎回行う作業の合計90秒99秒

さらに、組立品20個ごとに容器の交換が必要です。この作業について別途設定した正味時間は60秒なので、組立品一個当たりの加算時間は60 ÷ 20 = 3秒です。したがって、作業全体の正味時間は組立品一個当たり102秒となります。

ここで、時間研究の結果、正味時間の15%に相当する余裕時間を設定したとします。

標準時間 = 正味時間 × (1 + 余裕率)

102 × 1.15 = 組立品一個当たり117.3秒となります。

余裕率は、何を分母とするかが重要です。標準時間全体の15%を余裕時間とする場合は、次の式を使います。

標準時間 = 正味時間 ÷ (1 − 余裕率)

102 ÷ 0.85 = 組立品一個当たり120秒となります。

結果が異なるのは、同じ「15%」でも比率の基準が違うためです。標準時間の設定にどちらの基準を使ったかを記録してください。後任の計画担当者が、最終的な数値から計算方法を逆算せずに済むようにしておきます。

5. 標準時間を検証・承認し、継続的に管理できる状態にする

現在の標準時間を置き換える前に、同じ方法と条件で追加の作業実績を取り、算出結果を検証します。標準時間に含めた周期作業と余裕時間も考慮し、数量と時間の測定範囲をそろえて比較してください。1回のサイクルが余裕時間込みの標準時間を下回っただけでは、余裕時間をなくす根拠にはなりません。

説明のつかない差異は、作業者や作業方法の責任者と確認します。必要な作業要素の抜けが原因で結果が妥当でない場合は、時間研究を修正してください。作業方法に違いがある場合は、それぞれを定義します。過去の時間実績がすべて収まるように、単に標準時間を引き延ばしてはいけません。

設定根拠を追跡できるよう、次の項目を記録します。

  • 対象の製品、工程、作業方法の改訂版、およびリソースの条件。
  • 元の観測記録、各作業要素の発生頻度、および例外の扱い。
  • レイティングの基準と評価結果、および正味時間の計算。
  • 余裕時間の区分と根拠、余裕率の分母、および算出した標準時間。
  • 検証結果、確認責任者、適用開始日、および見直しの条件。

生産技術部門の承認手続きを経て、標準時間を正式に適用します。承認は、その根拠と適用範囲が使用に適していることを確認するためのものです。測定結果を、話し合いで決めた数値に置き換えるものではありません。

治工具、材料、設計、検査要件、作業方法が変わったときや、比較可能な実績との間に説明のつかない差異が継続して現れたときは、標準時間を見直します。作業方法が実際に改善されたのか、時間の記録方法が変わっただけなのかを区別できるよう、旧版も保存してください。

標準時間を適切なリソース負荷に置き換える

算出結果をスケジューリングモデルに入力する前に、この時間で、どのリソースを確保するのかを確認してください。

すべて手作業で行う先ほどの例では、標準時間は1つの作業ステーションでの組立作業を表しています。一方、機械加工の工程では、作業者の作業、自動運転、検査が重なることがあります。これらをすべて足すと、機械の実際の占有時間を過大に見積もってしまいます。反対に、切削時間だけを使うと、完了するまで次のサイクルを開始できないワークの取付け時間が抜け落ちるおそれがあります。

作業の重なりが重要な場合は、作業者と機械の動きを並行したタイムラインに描きます。各リソースがいつ占有されるのか、自動運転中に作業者が実際に別の作業を担当できるのかを確認してください。無人運転だからといって、作業者を制限なくほかの作業に割り当てられるとは限りません。

余裕時間とリソースの稼働カレンダーの整合性も確認します。すでに稼働可能時間から除外した休憩を、同じ休憩の余裕時間として作業時間にも加算し、能力を二重に減らしてはいけません。時間研究で設定した標準時間は保持しつつ、その構成要素を計画上の所要時間と稼働可能な能力にどう反映するかを文書化してください。

1個当たりの時間の計算や、注文数量が異なる場合に段取り時間を分けて所要時間を計算する方法は、製造業のサイクルタイムガイドをご覧ください。ここで判断するのは、それより前の問題です。つまり、計算の基になる標準時間が、定義した作業をそもそも正しく表しているかどうかです。

精度を高めた所要時間をSkyPlannerで活用する

所要時間の修正は、調査した工程だけに影響するものではありません。機械の作業待ち列で必要な時間枠、後工程を開始できる時点、同じ能力を必要とするほかの注文との競合関係も変わります。マスターデータの値を1つ更新するのは、こうした計画業務の出発点にすぎません。

SkyPlannerでは、各工程の所要時間、段取りと後片付けの時間、割当可能な作業ステーション、依存関係を設定できます。スケジューリング用のAIであるArcturusが、設定したリソースと優先順位に基づいて生産スケジュールを計算し、その結果をGanttビューに表示します。影響を受ける作業待ち列を一つひとつ手作業で組み直すことなく、実態に即した所要時間が受注残全体に及ぼす影響を確認できます。優先順位は利用者が設定し、ルールとロックで決定事項を維持できます。

SkyPlannerのTimerとShopFloorは、時間と数量の記録に対応し、後の見直しに使える生産実績を提供します。また、過去の時間記録から工程の所要時間を予測する機能もあります。これにより、実績に即した計画用の見積りを維持しやすくなります。時間研究は、定義した作業を標準的なペースで行うのに必要な時間を求めるものです。一方、過去データによる予測は、記録された生産実績から所要時間を見積もるのに役立ちます。どちらを入力値として使うかは、この目的の違いを踏まえて判断してください。

Mamecの事例は、全体を連動させてスケジュールを組むことの重要性を示しています。フィンランドの製造企業である同社は、相互に依存する数千件の作業指示を抱え、紙の指示書に記載された納期を基に優先順位を管理していました。SkyPlannerは同社のOscar ERPと連携し、生産計画の中核プラットフォームとなりました。Mamecは、生産状況をリアルタイムで共有できるようになり、計画業務の負担が明らかに軽減したと報告しています。この事例は、待機中の作業の順序を各工程で個別に手作業で決めるのではなく、計画全体を管理する価値を示しています。

工程時間の精度向上を、より良い生産スケジュールにつなげるなら、SkyPlannerをお選びください。公開REST APIを通じてあらゆるERPやMESと連携できるため、既存システムを維持しながら、実態に即した所要時間を有限能力スケジューリングに反映できます。

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Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

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データを連携し、最初の計画を確認。本番稼働するすべてのスケジュールは計画担当者が最終判断します。