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XYZ分析:需要のばらつきに合わせた在庫管理

平均使用量が同じでも在庫リスクは異なります。需要のばらつきを捉えるXYZ分析で、より適切な補充管理を選び、資材供給を生産につなげます。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月26日 3 分で読めます
Regularly spaced sleeves and a clustered batch of housings illustrate contrasting consumption patterns for XYZ analysis.
この記事の内容
  1. 在庫管理におけるXYZ分析とは
  2. XYZ分類の算出方法
  3. 1. 対象品目、履歴の範囲、集計期間を決める
  4. 2. 数量が実際に何を表しているか確認する
  5. 3. 平均と変動係数を計算する
  6. 4. 境界値を決め、結果を確認する
  7. 計算例:平均が同じでも在庫の判断は異なる
  8. X・Y・Zそれぞれに合った管理を行う
  9. 金額と緊急度を混同せずにABCとXYZを組み合わせる
  10. SkyPlannerで補充の判断を生産につなげる
  11. スケジュールの一元化がMamecにもたらした変化
  12. 1つの資材グループと、性質の異なる2つの部品から始める

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推定読書時間: 11 分

平均使用量が同じ2つの部品でも、必要な補充方法はまったく異なることがあります。一方は毎週安定して倉庫から払い出され、もう一方はしばらく使われず、大口の顧客注文が入ると数か月分が一度に消費される、といったケースです。両方を同じ平均値に基づいて発注すると、一方では過剰在庫、もう一方では欠品を招きかねません。

この違いを見極めるのに役立つのがXYZ分析です。消費量の変動パターンで品目を分類するため、通常の補充で対応できる部品と、需要をより詳しく確認すべき部品を区別できます。ABC分析と組み合わせれば、どの品目に費用がかかっているかに加え、使用量をどの程度確実に見通せるかも把握できます。

次のステップは、そこで決めた供給方針を実際の生産に反映することです。SkyPlanner APSは、資材の利用可否を、その資材を必要とする承認済みオーダーやリソースと結び付けます。これにより、在庫情報と個別に管理された設備ごとの作業待ちリストを照合する時間を減らせます。

在庫管理におけるXYZ分析とは

XYZ分析は、需要や消費量の時系列でのばらつきと規則性に基づいて在庫品目を分類する手法です。すべての部品に同じ管理方法を当てはめるのではなく、品目に応じた監視方法や補充計画を選ぶのに役立ちます。

分類代表的な消費パターン計画担当者が把握すべき点
X比較的安定しており、期間ごとの変動が小さい使用量や供給状況が変化しても、通常の補充方法が引き続き適切か
Y変動が比較的大きく、一定の傾向や季節性が見られることが多い変動の要因は何か、そのパターンを予測できるか
Z不規則または散発的で、払い出しの間隔が長く空く場合もある次の所要が発生するきっかけは何か、欠品すると何が止まるか

これらの分類が示すのは変動パターンであり、予測精度を保証するものではありません。季節品は年間を通じた変動が大きくても、適切な季節予測を用いれば十分に予測できる場合があります。一方、普段は安定している品目でも、大口顧客が注文を変更すれば想定外の動きが生じます。

また、XYZ分析とABC分析では、把握する対象が異なります。製造業の資材を対象とするABC分析では、一般に、使用数量に単価を掛けた年間消費金額に基づいて順位付けします。XYZ分析で見るのは、その使用量が時間の経過に沿ってどう分布しているかです。高価な品目が必ずしも予測しにくいとは限らず、安価な品目が必ずしも安定して使われるとも限りません。

どちらの分類も、その部品が欠品したときの生産への影響の大きさを示すものではありません。欠品の影響は、別の観点として把握できるようにしておきましょう。

XYZ分類の算出方法

数値で評価する際によく使われる出発点が、変動係数(CV)です。期間ごとの消費量のばらつきを、平均消費量に対して評価します。ただし、CVだけで判断せず、実際の需要パターンも併せて確認してください。

1. 対象品目、履歴の範囲、集計期間を決める

まず、ある工場で使う購入部品など、対象とする資材群を明確に定めます。単位を統一し、品目別に、同じ長さの計画期間ごとの数量を集めてください。1つの品目の履歴に、個数、箱数、キログラムを混在させてはいけません。

集計期間の長さは、判断の目的に合わせて選びます。月次の合計は購買の見直しに適していても、補充サイクルが短い場合に重要となる週単位のピークを隠してしまうことがあります。逆に、日次データが断続的に見えるのは、生産現場が1週間分の所要量をまとめて払い出しているだけかもしれません。

対象業務のサイクルを把握できるだけの履歴を使ってください。季節性が重要な場合、直近の数週間だけでは全体のパターンを捉えられません。品目間を比較するときは、履歴の対象範囲と集計期間の長さを統一し、同じ分類結果を再現できるよう両方を記録しておきます。

2. 数量が実際に何を表しているか確認する

購入品がまとめて入荷することと、生産で資材が消費されることは別です。仕入先の納入パターンを誤って分類してしまわないよう、分析の目的に合った消費量や需要のデータを使ってください。

実際に消費量がゼロだった期間は残します。除外すると、散発的に使われる品目が実態よりも安定して見えてしまいます。一方、記録の欠落は別です。ゼロで埋めず、原因を調べてください。

欠品によって消費が抑えられていなかったかも確認します。部品がなく払い出しがゼロだった週は、生産で必要がなかったことの証拠にはなりません。新製品、廃止品目、在庫修正、通常とは異なる単発プロジェクトについては、その履歴を補充ルールに反映する前に、個別に確認する必要があります。

3. 平均と変動係数を計算する

品目ごとに、次の値を計算します。

平均消費量 = 総消費量 ÷ 期間数

変動係数 = 期間ごとの消費量の標準偏差 ÷ 平均消費量

標準偏差は、期間ごとの数量が平均の周りにどの程度ばらついているかを示します。これを平均で割ると、その品目の通常の使用量に対するばらつきの大きさを表せるため、消費量の規模が異なる品目同士でも、より有意義に比較できます。

標準偏差の計算方法は統一してください。以下の計算例では、観測数から1を引いた値を分母に使う標本標準偏差を用います。標本と母集団の計算方法を切り替える場合は、必ずその変更を記録してください。

CVは比率でも百分率でも表せます。比率の0.50は50%ですが、欠品確率が50%という意味ではありません。平均消費量がゼロの場合、この除算は定義できません。また、平均が非常に小さい場合は、わずかな数量の変化でも結果が大きく変わることがあります。こうした品目は、見かけ上精密な分類に無理に当てはめず、確認対象として識別してください。

4. 境界値を決め、結果を確認する

適切な在庫方針を保証する、万能な2つのCV境界値は存在しません。境界値とちょうど一致する値をどちらに分類するかも含めて基準を明記し、計画上のニーズが実質的に異なるグループに分けられているかを検証してください。

以下の例に限り、CVが0.50以下をX、0.50超かつ1.00以下をY、1.00超をZとします。これは説明用の基準であり、工場での初期設定として推奨するものではありません。

分類を採用する前に、消費履歴を確認してください。同じようにCVが高くても、繰り返し発生する季節的なピークが原因の場合と、単発で先行きが不確かな注文が原因の場合では、必要な対応が異なります。

計算例:平均が同じでも在庫の判断は異なる

2つの部品について、8週間の消費量が次のようになっているとします。この短い履歴は計算方法を説明するためのものであり、これだけで長期的な在庫保有方針の妥当性を検証することはできません。

部品週ごとの消費量(第1–8週)合計週平均標本標準偏差CV説明用基準による分類
標準スリーブ90, 110, 90, 110, 90, 110, 90, 11080010010.690.11X
プロジェクト用ハウジング0, 0, 0, 400, 0, 0, 0, 400800100185.161.85Z

スリーブのCVは、概算で10.69 ÷ 100 = 0.11です。ハウジングは、概算で185.16 ÷ 100 = 1.85となります。どちらも平均は週100個ですが、実際の週ごとの所要量がそれに近いのはスリーブだけです。

スリーブは、リードタイムと供給の信頼性を考慮すれば、定型的な補充でうまく管理できる可能性があります。一方、ハウジングを毎週100個ずつ購入すると、使用の少ない週に在庫が積み上がるうえ、次のプロジェクトに必要な数を確保できないおそれがあります。確定した注文で400個が必要なら、平均よりも、その注文に固有の所要量を重視すべきです。

ハウジングの履歴には、消費量がゼロの週も六週あります。需要が断続的に発生する品目では、出庫ごとの数量と出庫の間隔の両方を確認してください。CVだけでは、次の出庫がいつ発生するかは分かりません。受注生産では、確定した顧客注文とそれに伴う資材所要量のほうが、統計的な平均よりもはるかに有力な計画の根拠になる場合があります。

X・Y・Zそれぞれに合った管理を行う

分類は、判断に反映してこそ役立ちます。品目グループごとに補充方法と責任者を決め、例外を見直すべき理由を明確にしてください。

X品目では、見通しの立つ定型業務を簡素化します。発注点に基づく補充や計画的な分納指示など、標準的な補充の仕組みを設ければ、購買判断を繰り返す手間を減らせます。その運用が補充にかかる時間と実際の使用量に合っているかを確認してください。Xに分類されたからといって、バッファ在庫をなくしたり、仕入先は必ず納期を守ると考えたりしてよいわけではありません。

Y品目では、在庫を増やす前に変動の要因を把握します。毎年繰り返す生産シーズンを前に使用量が増えるなら、年間平均で購入するのではなく、そのパターンに合わせて供給を計画します。新規契約や製品の生産立ち上げが変化の要因であれば、関係する担当者と今後の所要量を確認してください。消費パターンが変わったときに必要なのは、分類記号を変えることだけではなく、その理由を明らかにすることです。

Z品目では、在庫を持つかどうかを慎重に判断します。顧客が許容するリードタイムに収まるなら、注文ごとの購入によって、不確かな将来の仕事に備えて在庫を積み上げずに済みます。ただし、重要な予備品やリードタイムの長い部品は、代替品の到着を待てないため、在庫が必要な場合もあります。Zは、陳腐化している、重要ではない、あるいは欠品しても問題ないという意味ではありません。

3つのグループすべてについて、補充リードタイム、仕入先の信頼性、最小発注数量、保管可能期間、代替品、欠品した場合の影響を考慮してください。分類だけで必要な安全在庫やサービス水準が算出されるわけではありません。分類の役割は、管理上、何を検討すべきかに目を向けることです。

金額と緊急度を混同せずにABCとXYZを組み合わせる

ABC–XYZ分析では、各品目に両方の分類を付け、AX、AY、AZからCX、CY、CZまでの組み合わせで表します。最初の文字は年間消費金額による区分を、2つ目の文字は消費パターンを示します。

この違いを捉えると、管理の手間をどこにかけるべきか判断しやすくなります。AX品目は年間消費金額が大きく、使用量は比較的安定しています。そのため、金額面では厳密に管理しながら、補充は定型的な手順で行えます。AZ品目は金額が大きい一方、使用が不規則です。在庫にさらに資金を投じる前に、発注済みの内容と次の確定所要量を入念に確認する必要があります。

CX品目は、事務負担を減らす簡単な補充方式に向いている可能性があります。CZ品目では、そもそも在庫を持つべきかを慎重に判断する必要があります。ただし、年間支出額が小さいからといって、生産停止のリスクがなくなるわけではありません。

マトリクスに9つの区分があるからといって、まったく異なる手順を9つ用意する必要はありません。組み合わせから管理上の意味がある違いを見極め、チームが実際に運用を続けられる少数の管理方針にまとめて文書化してください。

特に重要なのは、このマトリクスをそのまま設備ごとの作業順序の優先順位にしないことです。AXの資材を使う作業が、CZの資材を使う作業よりも必ず緊急度が高いとは限りません。次に何を生産するのが妥当かは、納期、顧客との約束、使用可能な資材、同じ生産能力を必要とする他の作業を踏まえて判断する必要があります。

SkyPlannerで補充の判断を生産につなげる

例に挙げた2つの部品に戻りましょう。スリーブは定型的に補充し、ハウジングは注文ごとに購入する方針が決まったとします。これらの部品を使う承認済みの製造指図が、今度は同じマシニングセンタの加工枠を必要としています。

購買方針は異なっても、生産計画は1つにまとめる必要があります。ハウジングの入荷予定が分かるだけでは、判断に必要な情報の半分にすぎません。その工程をどこに組み込むか、それまでにどの作業を実行できるか、そして計画どおりに完成した場合に顧客との約束を守れるかも把握する必要があります。

SkyPlanner APSは、これらの制約をまとめて扱います。資材の利用可能状況を考慮するスケジューリングを有効にすると、スケジューリングAIのArcturusは、リソースの能力、シフト、工程間の依存関係、設定したルールに加え、資材がいつ使用可能になるかを考慮します。ガントチャートで各リソースへの作業の割り付けを確認できるため、資材リストと各機械の作業待ち行列を手作業で照合するのではなく、統合された計画を評価できます。

入荷予定や優先順位が変わったら、計画情報を更新して再計算します。すると、対象の製造指図と、同じリソースを使う他の作業への影響を確認できます。これにより作業順序を組み直す手間が省け、資材に関する判断が納期にどう影響するかも明確になります。

優先順位を決めるのは、引き続き担当者です。Arcturusは指示された範囲内でスケジュールを計算します。XYZの分類が、担当者に代わって事業上の判断を下すわけではありません。需要予測や補充の判断は、承認済みの作業をスケジュールに組み込むこととは別の業務です。承認した作業を、資材の利用可能状況と有限の生産能力に結び付けるための選択肢がSkyPlannerです。

SkyPlannerは、公開されたREST APIを通じて、あらゆるERPやMESと連携できます。資材の在庫残高は、システム連携を通じて、またはSkyPlannerのWarehouseモジュール内で管理できます。そのため、ERPの入れ替えから始めることなく、既存の購買データや品目データを生産スケジューリングに活用できます。

スケジュールの一元化がMamecにもたらした変化

産業用混合装置の製造とハイテク製品の受託製造を手がけるMamecは、相互に依存する数千件の作業指示を抱えていました。現場の管理者は紙の指示書を納期順に並べて優先順位を付けていましたが、ERPの計画機能では、必要な全体像を把握できませんでした。

MamecはSkyPlannerをOscar ERPと連携させ、AIによる有限能力スケジューリングと、作業順序を1週間単位で固定する運用に移行しました。同社の導入事例では、計画業務の負担が明らかに軽くなったこと、リソースの停止時間が減ったこと、生産負荷を把握しやすくなったことが報告されています。

品目の分類にとどまらず、作業同士の関係を1つの計画で管理できることが、実務上の利点です。作業順序の組み直しにかける時間を減らし、重要な約束をどう守るかの判断に、より多くの時間を使えるようになります。

1つの資材グループと、性質の異なる2つの部品から始める

無理なく扱える規模のグループを選び、履歴を確認して、誰が行っても同じ結果になる分類ルールを決めます。使用量が安定した部品と、散発的に使う部品を、購買部門と生産部門で検討してください。管理方法の何を変えるべきか、誰が判断に責任を持つか、いつ再評価するかを決めます。

欠品による中断、過剰在庫、例外対応に費やした手間など、実務上重要な指標で結果を追跡してください。年1回の見直しで方針が古くなっていたことに気付くのを待つのではなく、契約、製品構成、消費パターンが変わった時点で分類を見直します。

XYZ分析で、補充管理のどこに注意を向けるべきかを見極めましょう。そしてSkyPlannerで、そうした補充管理による資材の確保状況を、現場で実行できる生産計画に反映してください。

性質の異なる2つの部品と、それらを使う承認済みの製造指図を用意して、SkyPlannerのデモを予約してください。現在の在庫残高、入荷予定日、工順をお持ちいただき、他の作業と合わせてどのように計画に組み込めるかをご確認ください。まずはご自身で操作してみたい方は、デモデータでSkyPlannerをお試しください。

Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

SkyPlannerで、わかりやすい生産スケジュールを

データを連携し、最初の計画を確認。本番稼働するすべてのスケジュールは計画担当者が最終判断します。