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当期総製造費用とは?計算方法と内訳を解説

当月に発生した当期総製造費用を計算し、完成品の製造原価や売上原価との違いを整理。材料費や労務費が超過した原因を探ります。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月23日 3 分で読めます
Metal blanks, an enclosure, gloves and tools beneath shared factory lighting illustrate manufacturing cost inputs.
この記事の内容
  1. 3つの費用を同じ基準で集計する
  2. 直接材料費:購入額ではなく、生産で消費した額を計上する
  3. 直接労務費:人時に適切な時間単価を掛ける
  4. 製造間接費:工場の支援費用を重複なく計上する
  5. 当期総製造費用の計算例:1か月の生産活動
  6. 発生した製造費用を、完成品の製造原価や売上原価と区別する
  7. ロットの原価が想定を超えた理由を探る
  8. 原価の分析を生産計画の改善につなげる
  9. 工程間のつながりを考慮したスケジューリングでMamecに起きた変化
  10. 原価超過の事例を1件、SkyPlannerのデモでご相談ください

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推定読書時間: 11 分

当期総製造費用とは、一定期間に発生した直接材料の消費額、直接労務費、製造間接費の合計です。出荷できる完成品だけでなく、期末時点でまだ完成していない仕掛品にかかった費用も含まれます。

計算式は次のとおりです。

当期総製造費用 = 直接材料消費額 + 直接労務費 + 製造間接費

3つの金額を足すだけなら簡単です。大切なのは、いずれも同じ月、同じ生産範囲の費用であることを確認し、二重計上を防ぐことです。そうすれば、計算の先にある本来の問いに答えられます。製造費用が増えたのは、投入する材料や労働の単価が上がったからなのか、投入量が増えたからなのか、それとも作業が計画どおりに進まなかったからなのか、という問いです。

SkyPlanner APSは、こうした費用面の問いと生産現場の実態を結び付けるのに役立ちます。作業時間の記録、生産実績、材料消費量をもとに、何が起きたのかをより確かな情報で把握できます。また、AIによる生産スケジュールを共有することで、避けられる待ち時間や、作業の待ち行列を何度も組み直す原因となる連携上の問題に対処できます。その結果、費用をかけて確保した生産能力を、納品すべき受注の処理により多く振り向けられます。

3つの費用を同じ基準で集計する

暦月などの集計期間を決め、対象とする工場や生産エリアを明確にします。その期間の在庫の増減、生産作業の労務記録、対象となる工場費用を集めましょう。当月に支払った請求書の金額を単純に合計するのではなく、未払費用なども適切に計上し、その期間に発生した費用を使います。

原価計算のルールは経理部門と統一してください。ここでの計算は、生産活動を管理するためのものであり、法定の会計基準に基づく棚卸資産評価では追加の調整が必要になる場合があります。月次比較を意味のあるものにするには、集計範囲を一定に保つことが出発点です。数字が不利に見えるたびに費用の分類を変えてはいけません。

直接材料費:購入額ではなく、生産で消費した額を計上する

直接材料とは、製造する製品ごとに使用量を把握できる原材料や部品です。例えば、筐体に使う板金材や、筐体に組み込む購入部品が該当します。

対象の在庫に直接材料だけが含まれる場合は、次のように計算します。

直接材料消費額 = 期首直接材料棚卸高 + 純購入額 − 期末直接材料棚卸高

数量だけでなく在庫の評価額を使い、評価方法は一貫させます。純購入額には、該当する仕入返品、値引き、取得にかかる費用を反映してください。対象の在庫に工場用の間接材料も含まれる場合は、その消費額を直接材料費から除き、製造間接費に計上します。

材料が納入されたからといって、そのまま当月の製造で消費したことにはなりません。月末に原材料倉庫に残っていれば、期末棚卸高として差し引かれます。逆に、当月に消費した材料が、以前に購入したものである場合もあります。

在庫の増減を、製造への払出し、返却、記録された損失と照合します。良品にならなかったからといって、廃棄分を記録から消してはいけません。異常な損失は、通常の生産に使った材料に紛れ込ませず、別途把握できるようにしてください。適切な会計処理と、現場での原因調査につなげるためです。

SkyPlannerでは、作業者が作業を記録する際に不良品数を報告でき、その分の材料消費も反映されます。これにより、良品の生産実績と併せて、不良品にかかった費用も把握しやすくなります。材料の消費記録は、実際に行った作業と照らし合わせて確認しましょう。部品表が変わっていなくても、それだけでは特定のロットで追加の材料が必要になった理由は説明できません。

直接労務費:人時に適切な時間単価を掛ける

直接労務費は、生産作業に直接従事する人にかかる費用です。実務では、次の式で計算できます。

直接労務費 =(直接作業の人時 × 適用する時間当たり労務費)の合計

従業員ごと、または同じ単価を適用するグループごとに金額を計算し、合計します。基本賃金だけでなく、自社の方針に従って直接労務費に含める給与関連の税負担や福利厚生費など、事業主負担分も含めてください。時間外割増の扱いも統一し、作業時間の記録を給与計算と照合して、賃金支払いの対象となる生産時間に計上漏れがないようにします。

使うのは受注のリードタイムではなく、人時です。二人が一時間ずつ作業すれば、二人時になります。機械が無人で一時間稼働しても、必ずしも一時間分の直接作業が発生するわけではありません。複数の作業にまたがる監督業務や保全作業、その他の工場支援業務は、個々の作業にかかった費用を合理的なコストで把握できない場合、通常は間接労務費に分類します。

SkyPlannerでは、時間記録によって実際の作業を担当者と生産作業に紐付けます。予測・実績比較レポートでは、計画した所要時間と実際の生産時間を比較できます。賃金単価が原因だと決めつける前に、費用超過の原因を調べる手掛かりになります。

製造間接費:工場の支援費用を重複なく計上する

製造間接費は、工場の賃借料、生産設備の減価償却費、共通の水道光熱費、保全費、間接材料費、間接労務費など、生産に間接的にかかる費用です。販売費や全社的な一般管理費は、この製造費用の計算には含めません。

過去の期間の総額を集計する場合は、あらかじめ合意した工場の集計範囲で実際に発生した製造間接費を合計します。予定配賦率によってすでに各作業に製造間接費を配賦している場合は、その配賦額と実際発生額を照合し、差額を調整してください。製造間接費を含む作業原価の合計に、実際に発生した製造間接費の全額をさらに加えてはいけません。

製造間接費を個々の製品や受注に配賦する際にも、一貫した配賦方法が必要です。ただし、これは当月の工場全体の費用を確定することとは別の作業です。まず配賦対象の費用に何が含まれるかを把握し、そのうえで各作業にどう負担させるかを決めます。

当期総製造費用の計算例:1か月の生産活動

ある加工業の会社が、月次の製造費用を締める場面を考えてみましょう。原材料在庫には、直接材料と工場用の間接材料の両方が含まれています。以下の金額は説明用の例で、通貨は米ドルです。

項目当月の計算金額
材料消費額の合計期首棚卸高 $24,000 + 純購入額 $86,000 − 期末棚卸高 $30,000$80,000
直接材料消費額材料消費額 $80,000 − 製造間接費に含める間接材料費 $5,000$75,000
直接労務費1,200人時 × 事業主負担分を含む時間当たり労務費 $30$36,000
製造間接費間接材料費 $5,000 + 間接労務費 $12,000 + 賃借料 $9,000 + 水道光熱費 $6,000 + 減価償却費 $8,000 + 保全費 $4,000$44,000
当期総製造費用$75,000 + $36,000 + $44,000$155,000

材料消費額の合計である$80,000の行は、計算の途中段階を示したものです。最終合計に別途加算する費用ではありません。このうち間接材料費の$5,000は、製造間接費に一度だけ計上しています。また、時間当たり労務費の$30には、直接労務費に含める事業主負担分がすでに入っているため、他の項目で再び加算してはいけません。

この結果は、当月に$155,000の製造費用が発生したことを意味します。$155,000の材料を購入したという意味でも、原価$155,000の製品が完成したという意味でも、原価$155,000の製品が売れたという意味でもありません。

発生した製造費用を、完成品の製造原価や売上原価と区別する

当月に行った作業の一部は、未完成のまま残ることがあります。また、当月に完成した製品の一部が、まだ在庫に残っていることもあります。こうした在庫の増減があるため、当期総製造費用、当期製品製造原価、売上原価は異なる金額になります。

同じ例で、期首の仕掛品在庫が$20,000、期末の仕掛品在庫が$25,000だったとします。他に評価調整がなければ、次のようになります。

当期製品製造原価 = 期首仕掛品棚卸高 + 当期総製造費用 − 期末仕掛品棚卸高

$20,000 + $155,000 − $25,000 = $150,000

したがって、$150,000が製品在庫に振り替えられます。仕掛品残高が増えているため、当月に完成した製品の製造原価は、当月に発生した製造費用よりも小さくなります。

さらに、期首製品棚卸高が$18,000、期末製品棚卸高が$23,000だったとします。

売上原価 = 期首製品棚卸高 + 当期製品製造原価 − 期末製品棚卸高

$18,000 + $150,000 − $23,000 = $145,000

製造活動を振り返る際は、当期総製造費用の$155,000を使います。完成して製品在庫に振り替えられた分を確認する際は、当期製品製造原価の$150,000を使います。売上総利益を評価する際は、売上原価の$145,000を対応する売上高と比較します。当月の当期総製造費用を売上高から直接差し引くと、製造活動と、必ずしも同じ製品とは限らない販売分とを混同することになります。

単位原価でも、この区別が重要です。仕掛品在庫が変動している場合、月間の当期総製造費用をその月の完成数量で割ると、実態を見誤るおそれがあります。同等の製品からなる完成済みロットでは、そのロットに割り当てられた製造原価を良品の完成数量で割ります。複数の異なる製品が混在する場合は、完成品をすべて同等とみなすのではなく、原価を集計した製造指図や製品群ごとに比較します。

ロットの原価が想定を超えた理由を探る

月間の総額が増えたからといって、効率が低下したとは限りません。生産数量が増えたか、手間のかかる製品の比率が高まった可能性もあります。生産実績を検証するには、実際の良品生産量に対する標準材料量・標準工数と、実際に使用した材料量・工数を比較します。

繰り返し生産している筐体のロットで、良品100個を製造する場合を考えます。この生産量に対し、合意済みの基準では材料200 kgと直接作業工数10人時を見込んでいます。仕様と製造範囲に変更はありません。

投入項目良品100個に対する標準良品100個に対する実績直接費の超過額
材料200 kg × $5/kg = $1,000220 kg × $5.50/kg = $1,210$210
直接労務10人時 × $30/人時 = $30012人時 × $32/人時 = $384$84

材料費の超過額は、次の2つに分けられます。

  • 価格による影響:実際使用量220 kg × ($5.50 − $5) = $110。
  • 使用量による影響:(実際使用量220 kg − 標準使用量200 kg) × $5 = $100。

$110の差額については、材料の評価額、購入条件、購入単価を確認します。$100の差額については、切断歩留まり、不良廃棄、手直しなど、製造上の要因による材料の過剰使用を調べます。実際単価の$5.50は、使用した材料に割り当てられた原価であり、必ずしも仕入先の最新見積価格ではありません。

労務費も同じように分けられます。

  • 賃率による影響:実際工数12人時 × ($32 − $30) = $24。
  • 工数による影響:(実際工数12人時 − 標準工数10人時) × $30 = $60。

残業や担当者の違いによって賃率が変わっていないか確認します。超過した工数については、段取り、やり直し、作業記録と照らし合わせて調べます。所要時間の差は調査すべき箇所を示しますが、それだけで作業者の効率が悪かったと判断することはできません。

製造間接費を検討する前の段階で、これらの要因により直接費の超過額$294を説明できます。要因が違えば、取るべき対策も異なります。材料価格を交渉しても切断歩留まりの悪さは改善せず、賃率を下げても前工程の完了待ちを繰り返す作業の問題は解決しません。ロットに標準配賦率で製造間接費を配賦している場合は、これらの直接費への影響に混ぜず、実際の製造間接費との差を別に検討します。

原価の分析を生産計画の改善につなげる

原因が分かったら、その発生箇所で対策を講じます。材料価格の問題なら、購買や仕様の見直しが必要です。不良廃棄が多ければ、工程や品質面で対応します。一方、作業の準備がそろわず、スケジュール変更を繰り返すことで人件費の発生する時間が失われているなら、必要なのは作業間の調整が取れた生産計画です。

筐体が切断、曲げ、組立の各工程を通る場合を考えます。組立には作業者がいるのに、曲げ加工済みの部品がまだ準備できていません。現場責任者は作業順序を組み替えます。その後、遅れたロットを出荷に間に合わせるために残業が必要になります。問題は単に時間当たりの費用が高いことではありません。必要な工程と利用可能なリソースのタイミングが合っていなかったことです。

SkyPlannerのスケジューリング用人工知能Arcturusは、リソース、シフト、作業者、工程の所要時間、依存関係、優先順位を基に、各作業のつながりを考慮したスケジュールを計算します。資材を考慮するスケジューリングを有効にすると、資材の利用可否も計算に反映されます。担当者が優先順位を設定し、決定した内容をロックで固定すると、Arcturusがそれに基づく日程を計算し、ガントチャート上に表示します。

これにより、生産計画担当者はリソースごとの作業順序を個別に修正するのではなく、曲げや組立のリソースを取り合う他の製造指図も含めて、筐体の工順を調整できます。状況が変わったときは、共通の計画を再計算することで、後続作業への影響が見えるようになります。別々の一覧を維持する時間が減り、人件費をかけて確保している生産能力を、避けられる待ち時間ではなく、必要な製造指図に充てられます。

現場での成果だけでなく、経営面での効果も確認します。残業を回避すれば、支出を減らせる可能性があります。同じシフトの勤務時間内に別の必要な製造指図を完了できれば、給与総額が変わらなくても、生産能力を有効に活用できます。どちらも価値がありますが、財務上の効果は同じではありません。

工程間のつながりを考慮したスケジューリングでMamecに起きた変化

混合・撹拌装置の製造とハイテク製品の受託製造を手がけるMamecは、以前、紙の作業指示書とERPの計画機能を使って、相互に依存する数千件の作業指示に優先順位を付けていました。全体の負荷を把握しにくく、手作業での優先順位付けが生産管理の負担になっていました。

同社はSkyPlannerとOscar ERPを連携させ、人工知能による有限能力スケジューリングを導入し、作業状況を関係者で共有できるようにしました。同社の事例では、リソースの停止時間が減り、計画業務の負担が明らかに軽くなり、リードタイムもより適切になったと報告されています。次の作業が分かるため、機械加工の担当者は長時間の加工運転中に次の仕事を準備することもできます。

この事例は、原価を見直すことで見えてくる現場改善の可能性を示しています。作業順序の確実性を高め、既存の生産能力をより有効に使うことです。調整不足によるロスを月間総額の一部として受け入れるだけでなく、自社工場でもその実態を調べる意義があります。

原価超過の事例を1件、SkyPlannerのデモでご相談ください

生産実績を実行可能な共通スケジュールにつなげ、先月の原価分析を次の製造指図の改善に生かしたいなら、SkyPlannerをお選びください。SkyPlannerは公開REST APIを通じてあらゆるERPやMESと連携できるため、既存システムを活用しながら生産スケジューリングを改善できます。

SkyPlannerのデモを予約し、繰り返し生産している製造指図を1件ご用意ください。標準材料量、実際使用量、計画工数と実績工数、使用するリソースを通る工順が分かるものをご用意いただくと、その事例を基に、どこで原価超過が生じたのか、スケジュールを変えると作業がどう変わるのかを相談できます。まずはご自身で確認したい方は、デモデータでSkyPlannerをお試しください。

Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

SkyPlannerで、わかりやすい生産スケジュールを

データを連携し、最初の計画を確認。本番稼働するすべてのスケジュールは計画担当者が最終判断します。