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製造プロセスの可視化:工程間の引き渡しを改善する

製造プロセスの可視化で工場の仕事の流れを把握。判断と引き渡しを明確にし、承認済みの改善を、現場が実行できる生産計画に反映します。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月25日 3 分で読めます
Machined parts on a trolley linked to an inspection release tag before the handoff to assembly
この記事の内容
  1. 製造プロセスの可視化とは
  2. 解明したいことに合った図を選ぶ
  3. 製造プロセスを可視化する手順
  4. 1. 実際の問題に合わせて対象範囲を決める
  5. 2. 実務担当者と一緒に仕事の流れを追う
  6. 3. 作業、判断、待ちを分けて描く
  7. 4. 引き渡しごとに責任者と完了条件を決める
  8. 5. 通常時と例外時の両方の流れを確認する
  9. 例:加工は完了したのに次工程への移行が承認されていないロット
  10. 承認された改善内容を、共有できる生産計画に反映する
  11. 変更を製造現場まで届けることが重要な理由
  12. 新しいプロセスを試行し、実態に合わせて更新する

ホーム » リソース » 製造プロセスの可視化:工程間の引き渡しを改善する

推定読書時間: 11 分

ロットの機械加工が終わり、部品は台車に載っています。組立工程にも余力があります。それなのに、誰も作業を始めません。検査側は製造側から次工程への移行承認を申請すべきだと考え、製造側は検査結果が出ていれば十分だと考えています。工順に書かれているのは「機械加工、検査、組立」だけ。抜けているのは、関係者の間での取り決めです。

製造プロセスの可視化では、この取り決めを見える形にします。工場で仕事が実際にどう流れているかを、次のチームが作業を進めるために必要な判断、情報、責任分担も含めて示します。適切に行えば、設備の並びをきれいに描き直すだけでなく、避けられる待ち時間の解消に役立ちます。

改善は日々の計画にも反映する必要があります。合意した変更が工程、所要時間、または作業に使用できるリソースに関わる場合、SkyPlannerは他の製造指図と同じスケジュールにその変更を組み込みます。より良いプロセスを定めるのは皆さんのチームです。SkyPlannerのスケジューリングAIであるArcturusは、定義された生産作業を、全体の整合が取れた計画にするための計算を担います。

製造プロセスの可視化とは

製造プロセスの可視化とは、対象とする製造プロセスについて、開始のきっかけから最終的な成果物が得られるまでの流れを図で表すことです。実用的な図には、各作業とその順序、判断、責任を担う役割、そしてそれらの間を行き来する物と情報の流れを盛り込みます。

対象には、注文内容の確認、資材準備、製造、検査、出荷などを含められます。どこからどこまでを扱うかは、解決したい問題によって決まります。検査済みの部品がなぜ組立待ちになるのかを理解するために、工場全体を図にする必要はありません。

業務フロー図は、工程の一覧だけでは曖昧になりがちな問いに答えます。検査を依頼するのは誰か。不合格ならどうするのか。手直しを承認するのは誰か。受け取るチームは、そのロットを作業に使える状態だとどう確認するのか。こうした点を明らかにします。

これらの答えが明確になることで、調整業務を減らし、責任の所在をはっきりさせ、仕事が滞る箇所を見つけられます。図を描くことは手段にすぎません。目指す成果は、仕事がより確実に流れるようにすることです。

解明したいことに合った図を選ぶ

作業内容と判断による分岐を把握したい場合は、簡単なフローチャートから始めましょう。問題が部門をまたぐなら、スイムレーン図の方が役立つことが多くあります。レーンごとに役割やチームを分けるため、レーンを横切る矢印で引き渡し箇所が分かります。

対象範囲が曖昧な場合は、全体を大まかに整理するSIPOCが役立ちます。SIPOCは、供給者、インプット、プロセス、アウトプット、顧客を表します。ここでいう顧客には、仕事を受け取る社内のチームも含まれます。まず、プロセスに何が入り、次のチームが何を受け取ることを期待しているかについて合意し、そのうえで問題が起きている箇所の流れを詳しく描きます。

製造に関する次の2つの記述方法は、関連はありますが目的が異なります。

  • 工順は、製品を作るために必要な工程とリソースを定義します。生産計画には欠かせませんが、工順だけでは部門間の判断や情報のやり取りまで分からないことがあります。
  • 物と情報の流れ図(VSM)では、価値を生み出す流れ全体にわたり、特に待ち時間、在庫、リードタイムに着目して、物と情報の流れを分析します。より広い仕組みの中で、どこで時間が失われ、流れが滞っているかを調べたい場合に適しています。

業務フロー図を作ることで、工順の更新や、価値を生み出す流れの調査が必要になることもあります。ただし、それらと同じ内容を重複して描くものではありません。同様に、設備の詳細設定や組立方法は、該当する作業手順書に記載します。業務フロー図には、その手順書をいつ使うかを示し、個々の動作まですべて書き写さないようにします。

製造プロセスを可視化する手順

1. 実際の問題に合わせて対象範囲を決める

関係者が認識している、繰り返し発生する仕事の停滞を選びましょう。「生産を改善する」では範囲が広すぎます。「機械加工済みのロットが、検査から組立に移るまでに待たされる理由を明らかにする」なら、チームは実際に観察できる対象を調べられます。

開始と終了は、誰が見ても分かるように定義します。例えば、機械加工側がロットの完了を報告した時点を開始とし、次工程への移行が承認されたロットと必要な情報を組立側が受け入れた時点を終了とします。対象とする製品群と、含める仕様の違いも明記しましょう。そうしないと、ある人は通常の生産を説明し、別の人は特注品の例外的な処理を説明している、といった食い違いが起こります。

可視化の取り組みを誰が主導し、どの成果を重視するかについて合意します。この引き渡しでは、図から削除した枠の数よりも、次工程への移行承認を待つ時間や、確認が必要になったロット数の方が有用な指標です。

2. 実務担当者と一緒に仕事の流れを追う

作業者、検査担当者、運搬担当者、受け入れ側の監督者と一緒に、現在のプロセスを現場でたどります。それぞれに、何を受け取り、何を行い、何を記録し、何を引き渡しているかを見せてもらいましょう。計画部門や技術部門が流れに影響する判断を行っている場合は、その担当者にも加わってもらいます。

最近の実際の作業を取り上げて、説明と実態が合っているか確認します。その作業の工程票、検査記録、システム上のステータス、作業を進めるために必要だった連絡内容を確認しましょう。担当者が不在だったときや、最初の検査で不合格になったときにどうしたかも尋ねます。こうした場面で、正式な手順にはない処理が見えてくることがよくあります。

改善案を考える前に、まず現状を記録します。皆が「こうあるべき」と考える手順を図にしても、把握すべき現場の回避策は見えてきません。説明が人によって異なる場合は、最も整った説明を黙って採用するのではなく、違いを記し、その理由を調べましょう。

3. 作業、判断、待ちを分けて描く

「検査を依頼する」「結果を記録する」「ロットを受け入れる」のように、動作を短く記述します。記述の粒度もそろえましょう。組立部門全体の業務と、マウスを1回クリックする操作を同列に並べないようにします。

簡単なフローチャートなら、使う記号は少数で十分です。

  • 楕円は開始と終了を表します。
  • 長方形は作業を表します。
  • ひし形は判断を表し、分岐先には判断結果を記します。
  • 矢印は流れの方向を表します。

待ち、記録、その他の記号を使う場合は、簡単な凡例を添えます。判断による分岐には、例えば「合格」「不合格」と明記しましょう。ラベルのない矢印だけでは、結果の解釈を読み手に委ねることになります。

待ちは、実際に発生している箇所に示します。「ロットを検査する」という1つの枠に、検査前の順番待ち、検査作業、結果が伝えられるまでの待ちをまとめて隠してはいけません。それぞれを分けることで、能力を変えるべきか、判断ルールを変えるべきか、それとも引き渡しそのものを変えるべきかを見極めやすくなります。

4. 引き渡しごとに責任者と完了条件を決める

引き渡しごとに、次の4点を確認します。仕事を引き渡すのは誰か。受け取るのは誰か。何を添える必要があるか。受け取るチームが作業を進めてよいことを、何で確認するか。

作業と判断は、それぞれに責任を持つ役割のレーンに配置します。例外を見つける部門だけでなく、それを解決できる役割を明記しましょう。製造側は手直しを申請できても、その処置を承認できるのが品質部門だけであれば、その違いが図から分かるようにします。

物と情報は、一緒に追うことが重要です。台車を移動しただけで、そのロットの次工程への移行が承認されたとは限りません。同じように、合格を示す検査記録があっても、組立側がどのロットの記録か分からなければ役に立ちません。物と情報の流れがどこで再び結び付くかを示しましょう。

5. 通常時と例外時の両方の流れを確認する

参加者に、通常の作業を開始から終了まで図に沿ってたどってもらいます。次に、ロットが不合格になった場合、情報が不足している場合、判断者が不在の場合も確認します。どの分岐も、明確な行動や解決につながる必要があります。担当する役割も決めずに「問題を解決する」という枠で終わらせてはいけません。

各引き渡しの受け取り側にも、図を確認してもらいましょう。送り手は作業が完了したと考えていても、受け手には開始に必要な情報がまだ足りないかもしれません。この食い違いこそ、可視化によって明らかにすべきものです。

現状の図について合意してから、初めて改善後の姿を描きます。提案段階の改善が、すでに実施されているやり方と誤解されないよう、現状と改善後の図は分けて管理しましょう。

例:加工は完了したのに次工程への移行が承認されていないロット

機械加工した部品を、検査後に組立へ回す工場を想定してみましょう。作業者は加工済みのロットを検査エリアに置きます。検査担当者は結果を記録しますが、組立側に次工程への移行承認を伝える方法は統一されていません。不合格品が口頭のやり取りだけで機械加工へ戻されることもあり、計画担当者は追加作業を把握しきれていません。

現状の業務フローを可視化すると、2つの問題が見えてきます。組立への通知を誰が担うのかが決まっておらず、手直しをどの時点で承認するかも合意されていません。改善後の引き継ぎでは、例えば次のように責任を明確にできます。

プロセス上の時点担当者・責任者引き継ぐ記録・情報次の対応
機械加工完了機械加工の作業者ロットの識別情報と検査依頼検査チームがロットを検査する
検査合格品質検査担当者ロットに紐づいた合格判定の記録組立責任者が、ロットを組立の作業待ち一覧に入れられる状態であることを確認する
検査不合格品質検査担当者不適合の内容と対象数量の記録権限を持つ品質担当者が処置を決定する
手直し承認承認済みの処置に従う生産計画担当者定義された手直し工程と必要なリソース手直しを計画に組み込み、完了後に検査へ戻す
組立でのロット受け入れ組立責任者使用が許可されたロットと組立に必要な情報最新の生産順序に従って組立を進める

ここで示した役割はあくまで例であり、すべての現場に当てはまる承認体制ではありません。自分たちの業務に適した権限と、その判断の根拠となる記録について、チーム内で合意する必要があります。

重要なのは、「検査完了」が複数の異なる状態を指さなくなることです。合格したロットには次に進む経路が定まり、不合格のロットには処置を判断する責任者と戻り先が決まります。計画担当者は、機械の前で予定外の作業に気づくのではなく、追加で必要になる生産作業を把握できます。

計画に検査時間が確保されていることを、品質上の使用許可が出た証拠とみなしてはいけません。作業に時間を割り当てることと、その成果物の使用を許可することは別です。使用可否の判断をプロセスの中で明確にしておきましょう。

承認された改善内容を、共有できる生産計画に反映する

可視化から生まれる改善には、通知方法の明確化、重複入力の廃止、判断責任者の指定といった、業務の運用に関わるものがあります。一方で、生産作業そのものを変える改善もあります。検査を独立した工程にする、所要時間を実態に合わせる、承認された別のリソースを使う、といった変更が必要になるかもしれません。

後者のような改善を実際の運用に移しやすくするのが、SkyPlanner APSです。各生産工程について、所要時間、依存関係、その工程を実行できるリソースを定義します。Process Stepsのグラフでは、定義した製造順序を確認できます。工程ステップの設定には、段取り時間や、工程終了後から次の工程を開始できるまでの間隔も反映できます。

調査の結果、繰り返し行う工程の所要時間が実態に合っていないと分かった場合、SkyPlannerの時間見積もり機能「Graph」が、過去のオーダーデータを使った見積もりを支援します。この機能には過去のオーダーデータが必要です。計画にどのようなプロセスと前提条件を反映するかは、引き続きチームが判断します。

承認された生産上の変更を設定すると、Arcturusは利用可能な能力と、設定された優先順位やルールに基づき、定義済みの作業を他のオーダーと合わせてスケジューリングします。その結果はガントチャートで確認できます。機械ごとに分かれた作業待ち一覧を突き合わせる時間が減り、同じリソースを使う他の作業に変更がどう影響するかも把握できます。

先ほどの検査の例に戻りましょう。検査を独立した工程として計画に組み込んでも、検査能力が増えるわけではありません。他のオーダーとリソースを共有するなら、その取り合いも計画に織り込む必要があります。SkyPlannerでは、スケジュールへの影響を可視化できます。組立の開始時刻を約束してから、計画担当者がその影響に気づくという事態を避けられます。

プロセス、各工程に使用できるリソース、品質に関する権限は、人が決めます。SkyPlannerは、定義された生産作業の日程を調整します。この役割分担により、改善チームは適切な運用方法の検討に集中できます。計画担当者も、図が増えて手作業で計画と突き合わせるのではなく、実行可能な作業順序を得られます。

変更を製造現場まで届けることが重要な理由

UTUの事例は、計画を現場につなぐ最後の部分が実務でいかに重要かを示しています。フィンランドで配電盤・開閉装置を製造する同社は、SkyPlannerの導入前、部門ごとのExcelシートで計画を立てていました。ERPで生産順序を変更しても製造現場まで伝わらないことがあり、望ましくない順序で生産が進む場合がありました。

UTUはSkyPlannerをOracle NetSuiteと連携させ、ウルヴィラ工場の各ラインと部門の計画を1つのシステムに集約しました。導入事例の中で同社は、更新された作業待ち一覧が数秒でラインの組立作業者に届くと報告しています。個別の手動更新に頼るのではなく、能力、負荷、作業順序をまとめて確認できるようになりました。

プロセスを明確にした後も、同じように実際の運用までつなげる必要があります。作業を行う人に、最新の計画が届かなければなりません。書面上で引き継ぎを改善することには価値があります。その改善を日々の業務で役立てるには、承認された生産順序を確実に現場へ届けることが重要です。

新しいプロセスを試行し、実態に合わせて更新する

改善後のプロセスを試すために、管理しやすい範囲の作業を選びます。関係者全員に説明し、使用許可の根拠となる記録の保管先について合意したうえで、例外が起きた場合に誰へ判断を仰ぐかを伝えましょう。試行を始める前に、関連する作業手順書と生産計画データも更新しておきます。

最初に挙げた問題に照らして、結果を振り返ります。確認待ちでロットが滞留する時間は短くなったでしょうか。組立側は、どの作業が着手を許可されているかを識別できたでしょうか。手直しは計画に組み込まれたでしょうか。それとも、依然として予告のない割り込み作業になっていたでしょうか。試行対象の作業だけでなく、前後のオーダーへの影響も確認しましょう。

業務フロー図には、プロセス責任者の氏名、改訂日、見直しが必要になる条件を記載しておきます。リソースの追加、検査の担当や責任の変更、応急的な対応の常態化などがあれば、図が実態を反映しているか確認しましょう。日々の業務と合わなくなった図は、その有用性を支えていた信頼をすぐに失ってしまいます。

改善によって工順、所要時間、リソースの割り当てが変わる工場では、SkyPlannerを使って、その決定を共有の生産スケジュールに反映できます。よりよいプロセスに合意してから、現場がその計画に沿って動くまでの間に必要となる、作業順序の手動調整を減らします。

SkyPlannerのデモを予約して、実際に困っている引き継ぎの問題を1つ、検討中の生産上の変更、そのリソースを共有する他のオーダーについてお聞かせください。改善後のプロセスを自社の生産にどう組み込めるか、具体的に検討する出発点になります。まずはご自身で操作してみたい方は、デモデータでSkyPlannerをお試しください。

Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

SkyPlannerで、わかりやすい生産スケジュールを

データを連携し、最初の計画を確認。本番稼働するすべてのスケジュールは計画担当者が最終判断します。