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一個流し:製造現場で効果を発揮する条件

完成した部品を次工程ですぐに受け入れられますか?一個流しで待ち時間を短縮できる条件と、工場全体の生産スケジュールに組み込む方法を解説します。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月21日 2 分で読めます
Several blue brackets move individually through three connected manufacturing workstations.
この記事の内容
  1. 一個ずつ流すことは、ライン全体に一個しか置かないことではない
  2. 具体例:加工時間はそのままに、待ち時間を大幅に短縮
  3. 製造業が一個流しに取り組む理由
  4. 一個流しがうまく機能する条件とは?
  5. 小ロットやバッファのほうが適している場合
  6. 呼び方ではなく、実際の受け渡しを試行する
  7. SkyPlannerで、選んだ生産の流れを工場全体のスケジュールにつなげる
  8. 工程の条件が許す範囲で、前後工程を重ねて計画する
  9. 優先順位が変わっても、連動した計画を活用し続ける
  10. 作業順序の共通化がUTUにもたらした変化
  11. 次工程の条件も含めて判断する

ホーム » リソース » 一個流し:製造現場で効果を発揮する条件

推定読書時間: 10 分

一個流しとは、運搬ロットがまとまるのを待たず、加工を終えたものを一個ずつ次工程へ直接渡す方式です。受け入れ側の工程はすぐに作業できる状態にあるため、部品は再び順番待ちに入ることなく、工順に沿って流れていきます。

その利点は明快です。完成間近の注文品がパレットいっぱいにそろうまで待っていても、顧客にとってメリットはありません。一度に渡す数量を減らし、受け渡しの頻度を高めれば、その待ち時間を短縮でき、品質問題も早く見つけられます。ただし、一個ずつ流す方式が成り立つのは、次工程が受け入れられる場合に限られます。

そのため、生産管理者は一個流しを工程設計とスケジューリングの両面から検討する必要があります。現場のチームが実行可能な流れをつくり、SkyPlanner APSが工場全体の生産能力や優先順位に合わせて各工程の予定を組みます。こうすることで、早めに受け渡した部品を、ほかの作業で埋まっている機械の前で待たせるのではなく、完成を早める機会につなげられます。

一個ずつ流すことは、ライン全体に一個しか置かないことではない

複数の部品を同時に生産することは可能です。ある部品は組立中、別の部品は試験中、さらに別の部品は梱包中という状態もあります。それぞれの工程が完了し、次工程の準備が整った時点で、一個ずつ先へ進みます。

次の三つの数量は区別して考えましょう。

数量の区分表すもの一個流しによる変化
運搬ロット次工程へ一度に渡す数量一回の受け渡しを一個にする
生産ロット品種の切り替えや段取り替えを行うまでに、連続して生産する数量一個より多いままでもよい
仕掛品(WIP)の総量対象とする生産範囲内の未完成品すべて。加工中のものと待機中のものを含む待ち時間が減ればWIPも減らせるが、ライン全体の数量を一個に制限するわけではない

例えば、同じブラケットを一度の段取りで連続加工し、完成したものから一個ずつバリ取り工程へ直接渡すことができます。これは、ブラケットを一個加工するたびに段取り替えを行うこととは異なります。運搬ロットを小さくしても、生産ロットまで同じ大きさに減らす必要があるわけではありません。

理想的には、連結した工程間に待ち行列はありません。ただし、実際の工順では、こうした流れに加えて、管理されたバッファやロット単位での処理が不可欠な工程が含まれることもあります。滞留なく直接流せる範囲の始点と終点を明確にしましょう。工場全体を一個流しと呼んでも、すべての受け渡しが即座に行えるようになるわけではありません。

具体例:加工時間はそのままに、待ち時間を大幅に短縮

同一製品十個の注文を、準備、組立、試験の順に処理するケースを考えます。各工程の所要時間は一個当たり二分です。各工程にはそれぞれ作業者を配置した作業ステーションがあり、三か所とも使用可能で、処理が終わればすぐに次へ移せるものとします。この単純化した例では、段取り、移動による遅れ、故障、次工程への引き渡し可否の確認は発生しません。

ロット全体をまとめて渡す場合は、十個すべての準備を終えてから組立を始めます。組立も同様に、全数を終えてから試験へ渡します。一個ずつ渡す場合は、準備を終えた最初の一個が届いた時点で組立を始め、その一個の組立が終わればすぐに試験を始めます。

結果10個をまとめて渡す一個ずつ渡す
最初の1個の試験完了42分後6分後
10個すべての完成60分後24分後
一個当たりの三工程の合計処理時間6分6分

機械の処理速度が上がったわけではありません。ロット全体がそろうまで各ステーションを待たせるのではなく、別々の製品に対する作業を並行して進めることで、時間を短縮しています。この例では、一個流しの各工程に製品が行き渡ると、複数の製品を同時に処理しながら、2分ごとに1個が完成します。

では、試験ステーションが別の注文の処理で埋まっているとしたらどうでしょうか。組立を終えた最初の1個は、すぐには試験に入れません。早く引き渡しても、すでに確保されている試験の予定がなくなるわけではありません。運搬台車に載せる部品を減らすだけでなく、受け入れ側の処理能力を調整する必要があります。

製造業が一個流しに取り組む理由

最も直接的な効果は、最初の1個が完成するまでの時間を短縮できることです。ロットがまとまるのを待たずに受け渡せば、後工程は早く作業を始められます。工程間の待ち時間が減ると、スペースを占め、資金を滞留させる仕掛品も少なくなります。

品質に関するフィードバックも早まります。最初の1個を試験した時点で組立の問題が見つかれば、同じ条件で大量に生産を続ける前に、チームで原因を調べられます。これにより、同じ不具合が繰り返される影響を受ける数量を減らせます。ただし、検査や、必要な品質を安定して実現できる工程の代わりにはなりません。

受け渡す数量を減らすと、作業の状況も把握しやすくなります。以前は待ち行列に隠れていた工程の遅さが、流れの中断として見えるようになるからです。その結果、不安定な治具、工程ごとの作業量の偏り、材料不足など、チームが取り組むべき改善課題が具体的になります。

一方で、トレードオフもあります。バッファをなくすと、工程同士の依存度が高まります。ある工程が停止すると、次工程では手待ちが発生し、前工程では完成品を送り出せなくなることがあります。レイアウトが適切でなければ、受け渡しの頻度を上げることで運搬の手間が増える可能性もあります。目標は、良品の完成までの流れを短く、より確実にすることであり、部品を一個ずつ持って工場内を往復する回数を増やすことではありません。

一個流しがうまく機能する条件とは?

製品群を一つ選び、実際の工程の流れを調べましょう。工順が似ていることは有利ですが、決め手となるのは、実用的なペースで良品を次工程へ安定して渡し続けられるかどうかです。

確認項目適した条件工程間の連結を強める前に解決すべき課題
処理時間作業量が安定しており、一連の工程で顧客の需要に対応できる特定の工程が大幅に遅い、または頻繁に変動するため、前工程の送り出し待ちや後工程の手待ちが発生する
品質各工程が安定して良品を次へ渡せる不良や手直しによって流れが繰り返し中断する
設備と人員配置一連の工程で必要なときに、機械と必要な人員を確保できる故障、必要な技能を持つ人員の不足、他の作業との重複によって受け渡しが止まる
運搬と資材供給短距離で安全に運搬でき、使用場所へ資材が確実に供給される移動距離が長い、運びにくい、部品が不足しているなどの理由で、一個ずつの運搬が現実的でない
段取り替えと次工程への引き渡しルール選定した製品構成で、流れを妨げる段取り替えや、ロット単位で義務付けられた保留がなく生産できる洗浄、硬化、試験、次工程への引き渡し条件によって、すぐに先へ流せない

需要に応えるために必要なペースは、必要数量1個当たりに使える生産時間であるタクトタイムで把握します。これを、安定して繰り返せる各工程の所要時間や、実際に利用できるリソースと比較しましょう。過去に誰かが達成した最速のサイクルを基準に、ラインのバランスを取るべきではありません。

ある工程だけ所要時間が大幅に長い場合は、作業内容や人員配置、適切な能力増強の方法を調べましょう。部品を運ぶ頻度を上げても、実際のボトルネックは解消しません。また、受け入れ側の工程が使えないものを、前工程が単に稼働しているように見せるために作り続けるべきでもありません。

小ロットやバッファのほうが適している場合

炉への一括投入、バッチ式ミキサー、品質判定が下りるまでの必須の保留などにより、どうしてもロット単位で区切る必要がある場合があります。それでも、その前後の流れは改善できます。工順全体を無理に同じ受け渡し方式にそろえる必要はありません。

複数の製品群で共用するリソースには、別の制約があります。一つの工程の流れに専用化しても、採算が合わないことがあります。上限を定めた小さな先入れ先出し(FIFO)バッファを設ければ、リソースを利用するタイミングを調整しながら、順序を守り、ある程度の変動を吸収できます。バッファが見直されないまま在庫の山にならないよう、上限と補充ルールを明確にしましょう。

数個単位で渡す方式は、厳密には一個流しではありません。それでも、生産ロット全体をまとめて運ぶ方式に比べれば、有効な改善になり得ます。工程全体の流れを改善できる、実行可能な最小の受け渡し数量を選び、そのうえで、さらに減らせない原因の解消に取り組みましょう。

呼び方ではなく、実際の受け渡しを試行する

対象とする工程の範囲を区切り、代表的な製品構成で試行を始めましょう。処理に時間のかかる品種と、受け入れ時に最も頻繁に遅れを生じさせるリソースも対象に含めます。

1. 現在の流れを記録する。最初の一個が完成するまでの時間、受注分すべての生産が完了するまでの時間、工程間の待ち時間、仕掛品在庫(WIP)、品質実績を測定します。比較にあたっては、測定の開始点と終了点を統一してください。

2. 作業方法を合意する。誰が製品を次工程へ運ぶのか、次工程はいつ受け入れてよいのか、資材をどう補充するのか、作業ステーションが停止した場合にどう対応するのかを定めます。安全性とトレーサビリティを確保し、次工程への引き渡しに必要な確認を維持してください。

3. 実際の稼働条件で検証する。シフト、作業者の配置、段取り替え、受入側の設備を使うほかの受注も考慮します。実演時に後工程の作業ステーションが空いていたからといって、通常の生産でも同じように流れるとは限りません。

4. 全体としての結果を評価する。待ち行列を試行範囲の外へ移したり、運搬や取り扱い、手直しを増やしたりすることなく、受注分の生産完了を早められたか確認します。さらに別のバッファを減らす前に、流れが中断した原因を調べてください。

試行では、どの工程を直接つなげられるか、どこで工程間に管理されたバッファなどを設ける必要があるか、改善効果を維持するには何を変える必要があるかを明らかにします。

SkyPlannerで、選んだ生産の流れを工場全体のスケジュールにつなげる

作業をどのように流すか合意できたら、その順序を工程間を連動させた生産計画に反映します。SkyPlannerでは製品の工程を定義でき、各工程に対応可能な作業ステーション、所要時間、依存関係も設定できます。スケジューリングAIのArcturusが、設定された能力と優先順位に基づいて作業を割り付けます。Ganttビューでは、各リソースで工程がいつ予定されているかを確認できます。

これは、受入側の作業ステーションがほかの受注も処理する場合に特に役立ちます。流れの試行用に別の作業リストを管理し、検査部門の作業待ちに合わせて手作業で調整する代わりに、同じリソースのスケジュール上で各工程を調整できます。リスト同士の照合作業が減り、引き渡しを早めたときに受入側に使える能力があるかも把握しやすくなります。

工程の条件が許す範囲で、前後工程を重ねて計画する

SkyPlannerの「最低製造進捗率」を使うと、前工程がすべて完了する前に後工程を開始できます。前工程の生産がすべて終わるまで各工程が待つという前提ではなく、工程間で許容される作業の重なりをスケジュールに表現できます。

この進捗率のしきい値は、経過した作業時間に基づきます。合意した作業方法をスケジュール上で表すためのモデルであり、所定の個数が実際に到着したことを確認する信号ではありません。実際の出来高、運搬・取り扱い、品質確認後の引き渡し条件に照らして、開始時刻が妥当か検証してください。スケジュール上で工程を重ねるだけでは、バッファのないラインは実現しません。

10個の例で重要なのは、準備・組立・検査に実際に必要なリソースを確保しながら、各工程を重ねて計画できるかどうかです。検査に別の予定が入っているなら、そのリソースの競合も同じ計画に含める必要があります。

優先順位が変わっても、連動した計画を活用し続ける

特急受注、予定していたシフトの稼働取りやめ、資材納入の遅れによって、工程を重ねられる条件は変わります。該当する優先順位や稼働可能時間を更新し、Arcturusでスケジュールを再計算してください。資材の利用可否を考慮するスケジューリングが有効になっていれば、その条件も計算に反映されます。

生産上の判断と優先順位の決定は引き続き担当者が行い、SkyPlannerがそれに沿ってスケジュールを計算します。SkyPlannerは公開REST APIを通じてあらゆるERPやMESと連携できるため、すでに利用している受注・生産データを基盤に、工程間の調整を改善できます。

作業順序の共通化がUTUにもたらした変化

UTUのUlvila工場では、以前は部門別のExcelシートに頼って生産計画を立てていました。ERP上の作業順序の変更が製造現場に届かないこともあり、担当者は何をどの順序で行うかの確認に時間を費やしていました。

UTUはSkyPlannerの導入により、工場の全ラインと全部門を1つのシステムに統合し、Oracle NetSuiteおよび給与計算システムと連携させました。同社は、自動スケジューリングと視覚的なGanttタイムラインの組み合わせを高く評価しています。作業順序が変わると、更新された作業待ちリストが数秒で組立作業者に届きます。また、表計算シートの手動更新が不要になり、週に約2時間を削減できたと報告しています。

この事例は、工程間の引き渡し方法を変える際に必要な連携を示しています。送り出す側と受け入れる側に必要なのは、それぞれが管理して次第に食い違う2つのリストではなく、双方で共有する最新の作業順序です。

次工程の条件も含めて判断する

安定して稼働し、適切に負荷のバランスが取れた工程間で良品を直接受け渡せるなら、一個流しに取り組む価値があります。生産ロットサイズ、運搬ロットサイズ、仕掛品の総量は区別し、工程上必要な場合には、合理的な理由のあるロット単位の区切りを残してください。

これらの工程と工場内のほかの作業との調整に、計画担当者の時間がかかりすぎているなら、SkyPlannerをご検討ください。合意した生産の流れと、同じリソースを使うほかの作業を1つのスケジュールで連動させられます。担当チームは、別々の作業待ちリストの修正ではなく、制約の解消に集中できます。

SkyPlannerのデモを予約し、一つの製品群の工順、現在の運搬ロットサイズ、遅れの原因になりやすい共用リソースをご用意ください。許容される工程の重なりと、同じリソースを使う別の受注を、一つのスケジュールにどう組み込めるか、実演をご依頼ください。まずはスケジュール画面を操作してみたい方は、デモデータでSkyPlannerをお試しください。

Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

SkyPlannerで、わかりやすい生産スケジュールを

データを連携し、最初の計画を確認。本番稼働するすべてのスケジュールは計画担当者が最終判断します。