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OEE(設備総合効率)の計算方法と活用法

設備は動いているのに、良品数が伸びない。OEEを計算し、数値の裏にあるロスを見極め、現実的な生産計画につなげる方法を解説します。

Jussi Mäntylä 生産計画スペシャリスト、SkyPlanner 更新日 2026年10月21日 3 分で読めます
A machining station with finished parts and a rejected component illustrates equipment effectiveness losses.
この記事の内容
  1. OEEの計算方法
  2. 時間稼働率:停止による時間のロス
  3. 性能稼働率:稼働中に失われた生産量
  4. 良品率:手直しなしで良品となった割合
  5. OEEの計算例:シフト中の時間は何に使われたか
  6. ロスは割合だけでなく、分に換算して比較する
  7. OEEの各要素を改善の判断につなげる
  8. OEEと設備利用率の違い:動いていることと、有効に生産できていることは別
  9. OEE 85%は適切な目標か?
  10. SkyPlannerでOEEを次の生産計画につなげる
  11. 作業順序の改善がMamecにもたらした変化
  12. 設備のロスが納期に与える影響を確認する

ホーム » リソース » OEE(設備総合効率)の計算方法と活用法

推定読書時間: 10 分

OEE(設備総合効率)は、生産を予定していた時間のうち、工程の理想速度で良品を生産できた時間の割合を示す指標です。時間稼働率、性能稼働率、良品率の3つの要素を組み合わせて算出します。設備がシフトの大半で動いていても、速度が遅かったり、手直しが必要な部品を生産していたりすると、OEEは低くなります。

そのため、工場は忙しく動いているのに納期遅れが続く場合に、OEEが役立ちます。停止による時間のロス、速度低下によるロス、手直しなしでは良品にならなかったことによるロスを切り分けられるため、単に現場に増産を求めるよりも、改善の糸口をつかみやすくなります。

次のステップは、把握したロスへの対応です。SkyPlannerでは、生産状況の全体画面で能力や負荷とともにOEEのKPIを確認でき、同じ環境でAIによるスケジューリングも行えます。結果を調べ、確認できた能力の変化を織り込んで、関連する生産計画を修正できます。設備ごとの作業順序を手作業で組み直す必要はありません。

OEEの計算方法

計算式は次のとおりです。

OEE = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率

各率を小数に直して掛け合わせ、結果を百分率で表します。3つの値を足したり、平均したりしてはいけません。前のロスを差し引いた残りに、次の要素によるロスがかかるためです。

要素計算式確認できること
時間稼働率稼働時間 ÷ 計画生産時間生産を予定していた時間に、工程が稼働していたか
性能稼働率理想サイクルタイム × 総生産数 ÷ 稼働時間稼働中に理想速度で生産できていたか
良品率手直しなしの良品数 ÷ 総生産数手直しなしで要求を満たした生産数の割合はどれだけか

時間と数量の記録は、同じ設備、同じ生産時間帯、同じ工程範囲を対象にする必要があります。機械加工で得られた結果を、そのまま仕上げや組立まで含む工順全体の結果として扱うことはできません。

時間稼働率:停止による時間のロス

まず、設備で生産する予定だった時間を「計画生産時間」として定義します。人員を配置していないシフトや、工程を止める予定の休憩など、もともと生産を予定していない時間は除外します。

次に、その計画生産時間内の停止時間を差し引いて、稼働時間を求めます。故障だけでなく、その時間内に行う予定の段取り替えも時間稼働率を下げます。段取りを事前に把握していたからといって、それに費やす時間を計画生産時間から除けるわけではありません。

どの停止を停止時間として記録するか、統一したルールを決めておきます。通常、長い停止は時間稼働率に反映し、個別に記録しない短い停止は性能ロスに含めます。1回の停止はどちらか一方に計上し、両方に重複して計上しないようにします。

性能稼働率:稼働中に失われた生産量

理想サイクルタイムとは、最適な条件のもとでその製品を生産するときに達成可能な、1個あたりの最短時間です。提示したリードタイムや、停止・段取りを見込んで余裕を加えたスケジュール上の所要時間ではありません。

理想サイクルタイムに、不良品を含む総生産数を掛け、稼働時間で割ります。時間の単位はすべてそろえてください。設備が正常に動いているように見えても、サイクルの遅れやチョコ停があれば、性能稼働率は低下します。

性能稼働率が100%を超えたら、理想サイクルタイム、数量、時間の記録を確認する必要があります。理想サイクルタイムを長く設定すれば数値はよく見えますが、工程の速度が上がるわけではありません。

良品率:手直しなしで良品となった割合

ここでいう良品数は、手直しなしで所定の要求を満たした生産数です。一度不合格になった部品が手直し後に合格しても、それは手直しによって回復した数量であり、元の生産実績で初回から良品だった数量には含めません。

総生産数、手直しなしの合格数、廃棄数、手直し数は区別して管理します。そうしないと、最終的な合格数が十分でも、それを得るために余分な設備時間を費やした事実が見えなくなります。この品質面の考え方は直行率の記事で詳しく解説しています。OEEは、これに時間と速度のロスを組み合わせた指標です。

OEEの計算例:シフト中の時間は何に使われたか

1台の設備で、8時間のシフトを通じて同じ部品を生産する場合を考えます。30分間の休憩中は生産を予定していません。そのほかの記録は次のとおりです。

シフトの記録項目値
シフト時間480分
生産を行わない予定の休憩30分
計画生産時間450分
記録された停止時間(段取り替えを含む)90分
稼働時間360分
理想サイクルタイム部品あたり0.5分
部品の総生産数600
手直しなしで合格した部品数570

時間稼働率は360 ÷ 450 = 80%です。

性能稼働率は(0.5 × 600) ÷ 360 = 83.33%です。

良品率は570 ÷ 600 = 95%です。

丸める前の各率を掛け合わせると、OEEは63.33%となります。次の簡潔な等価式でも確認できます。

OEE = 手直しなしの良品数 × 理想サイクルタイム ÷ 計画生産時間

このシフトでは、570 × 0.5 ÷ 450 = 63.33%となります。

良品570個は、理想サイクルタイムで換算すると285分の生産に相当します。計画生産時間の残り165分は、停止、速度低下、不良によるロスです。すべてが停止時間というわけではありません。

ロスは割合だけでなく、分に換算して比較する

3つの要素の百分率は、それぞれ分母が異なります。各値を100%から引いても、シフト全体に占める割合として直接比較することはできません。理想速度での生産時間という共通の基準に換算します。

ロス計算式ロス時間(分)
時間稼働ロス計画生産時間450分 − 稼働時間360分90
性能ロス稼働時間360分 − (600個 × 0.5分)60
品質ロス初回に合格しなかった30個 × 0.5分15
ロス合計90 + 60 + 15165

品質ロスの15分は理想サイクルタイムで換算した値であり、必要な手直し時間を実測したものではありません。これらの部品の手直しには、はるかに長い時間がかかったり、別のリソースを使ったりする可能性があります。

この例では、記録された停止が最も大きな時間のロスです。まず、停止の理由と継続時間を調べます。90分の大半が繰り返し発生する段取り替えの問題によるものなら、段取りの改善に取り組む価値があります。一方、単発の故障でロスが発生し、設備がまだ使えないのであれば、直ちに行うべき計画上の判断は異なります。保全担当が復旧に取り組む間、影響を受ける注文の納期を守るための対応が必要です。

OEEの各要素を改善の判断につなげる

時間稼働率、性能稼働率、良品率から、どの種類のロスが起きたかは分かります。ただし、それだけで根本原因を特定できるわけではありません。

調査を役立つものにするには、各要素を実際に確認された出来事と結び付けます。設備故障や段取り・調整によるロスは時間稼働率に、チョコ停や速度低下は性能稼働率に影響します。立ち上がり時の不良や生産中の不良は、良品率に影響します。これらは一般に6大ロスと呼ばれます。

設備の記録と実際に作業している人の情報をもとに、原因を絞り込みます。短い停止の繰り返しは供給の問題から生じているかもしれませんし、サイクルの遅れは工具の摩耗や加工の難しい製品仕様によるものかもしれません。同じ数値でも、その背景にある問題は大きく異なります。

対策は、ロスの大きさだけでなく、生産への影響も踏まえて選びます。納期のある受注の進捗を制約しているリソースで繰り返すロスは、能力に十分な余裕がある設備での、より大きなロスよりも優先すべき場合があります。増産に意味があるのは、後工程で処理でき、顧客の需要にも応えられるときです。設備単体の指標を上げるためだけに不要な部品を作っても、在庫が増えるだけで、納期対応は改善しません。

選んだ対策には担当者を決め、同等の生産条件で効果を確認します。保全、段取り替え方法の改善、工程の是正は、ロスそのものに対処する取り組みです。一方、スケジューリングは、改善を進める間の作業と利用可能な生産能力を調整します。設備の問題によって約束済みの納期が危ぶまれる場合は、両方の対応が必要です。

OEEと設備利用率の違い:動いていることと、有効に生産できていることは別

設備利用率は、定義したリソースの能力をどれだけ使用しているかを示します。分母には、シフト内の利用可能時間など、明示した時間基準を用います。一方、OEEは、生産を予定した時間をどれだけ有効に使い、理想速度で良品を生産できたかを示します。

したがって、高い負荷がかかっている設備でも、OEEが低いことはあります。稼働時間の大半で速度が落ちていたり、不良品を作っていたりする可能性があるためです。逆に、生産予定時間内には高いOEEを達成していても、それ以外の時間は需要がなく、設備を使用していない場合もあります。

OEEだけでは、暦時間全体をどれだけ活用しているかは測れません。TEEP(Total effective equipment performance)は、暦時間に占める生産予定時間の割合も含めることで、評価対象を暦時間全体に広げます。日々の判断では、需要と予定された作業が十分にあるか、そして稼働を予定した時間からどれだけ有効な生産量を得られているかを、分けて考えることが重要です。

OEE 85%は適切な目標か?

よく挙げられる85%という数値は、ディスクリート製造で広く知られた目安であり、すべての現場に共通する合格ラインではありません。多品種を扱い、必要な段取り替えが頻繁に発生する設備と、単一製品を生産する専用ラインを、そのまま比較することはできません。

まず、自社の工程について信頼できる基準値を把握しましょう。生産時間に含める範囲、理想サイクルタイム、良否の判定基準を統一したうえで、実際に確認でき、削減可能なロスを改善対象にします。問題の多い時間帯を集計から外したり、手直し後の良品を初回で良品になった数量に含めたりして数値を上げても、現場の改善にはなりません。

製品ごとに理想サイクルタイムが異なる場合は、それぞれの製品に正しい値を使い、有効な生産に相当する時間を計算します。条件の異なるシフトや設備のOEEを単純平均するのではなく、算出の基となる時間と生産数量のデータを集計してください。

SkyPlannerでOEEを次の生産計画につなげる

シフトの振り返りは、設備の実績と約束済みの納期を結び付けて見ることで、より有意義になります。SkyPlannerのホームダッシュボードには、OEEに加えて、生産能力、負荷、生産状況のKPIが表示されます。作業レポートや計画・実績比較レポートでは、全体の数値の背景にある作業を確認できます。また、Timerでは作業時間、生産数量、不良数量を記録できます。

ロスの内容を把握したら、計画に何を反映すべきかを具体化します。設備が使えない場合は、利用可能時間の変更が必要です。工程の速度低下が繰り返される場合は、工程の所要時間を現実に即したものにします。承認済みの手直しには、別途リソースの時間を確保する必要があります。これらのうちどの変更が必要なのかは、1つの総合指標だけでは判断できません。

先ほどのシフトの例で、保全部門が、その設備には明日も2時間の修理が必要だと確認したとします。この利用できない時間帯を、SkyPlannerでリソースの例外設定として登録します。例外設定により、その時間帯には作業が割り付けられなくなります。そのうえで、SkyPlannerのスケジューリングAIであるArcturusが、設定された生産能力、工程間の依存関係、優先順位に基づいて、影響を受ける作業を再計算できます。再計算後の作業順序と完了日はGanttに表示されます。

明日の最初の作業だけを移動し、後から波及する影響に気付くのではなく、利用できなくなった時間帯が、後続工程や同じ設備を使うほかの受注にどう影響するかを確認できます。設定済みの別のリソースでその作業を実行できる場合は、その能力も考慮したスケジュールを組めます。優先順位や変更させたくない決定事項は担当者が管理し、Arcturusが関連する作業を含めたスケジュール計算を担います。

OEEで基準とする理想速度と、作業計画に使う現実的な所要時間は分けて扱います。スケジュールに実際の加工速度、段取り時間、既知の停止時間がすでに反映されている場合、さらにOEEの総合値を適用すると、同じロスを二重に計上するおそれがあります。そうするのではなく、確認できた問題に対応する入力値を更新してください。

SkyPlannerは、公開REST APIを通じて、あらゆるERPやMESと連携できます。これにより、既存の受注・生産データを有限能力スケジューリングにつなげ、KPIを別途管理する作業を減らし、生産能力が変わった際に設備ごとの作業待ち順を修正する手間も削減できます。

作業順序の改善がMamecにもたらした変化

撹拌技術を手がけ、受託製造も行うMamecは、以前は紙の作業指示書と柔軟性に欠けるERPの計画機能を使って、相互に依存する数千件の作業に優先順位を付けていました。全体の負荷を把握しにくく、作業順序を調整する負担は生産管理部門にかかっていました。

MamecはSkyPlannerをOscar ERPと連携させ、AIによる有限能力スケジューリングへ移行するとともに、受注と負荷を関係者間で共有できるようにしました。同社は、作業順序の最適化によりリソースの停止時間が減り、計画業務の負担が明らかに軽減したと報告しています。

これが、設備の実績をスケジューリングにつなげる実務上の意義です。次の作業やその依存関係を、個別に判断して後から整合させるのではなく、継続的に更新・管理する計画の一部として扱えるようになります。

設備のロスが納期に与える影響を確認する

時間ロスによって、約束済みの作業にたびたび支障が出ている設備を1台選んでください。SkyPlannerのデモでは、その設備の生産予定時間帯、理想サイクルタイム、生産数量、主な停止理由に加え、影響を受ける受注とその残りの工程をご用意ください。

その事例を使って、OEEの結果を理解し、確認済みの生産能力の変更を登録して、修正後のスケジュールが納期にどう影響するかを確認するまで、一連の対応を検討しましょう。自社の生産について相談するには、SkyPlannerのデモを予約してください。まずはデモデータでSkyPlannerを試すこともできます。

Jussi Mäntylä

生産計画スペシャリスト、SkyPlanner

SkyPlannerで、わかりやすい生産スケジュールを

データを連携し、最初の計画を確認。本番稼働するすべてのスケジュールは計画担当者が最終判断します。