Infor M3連携ガイド SkyPlanner APSによる生産スケジューリング
このガイドでは、パートナーやIT部門の皆様に向けて、Infor M3とSkyPlanner APSを接続する方法を解説します。SkyPlannerとInfor M3は、次のように双方向で連携します。
- 品目、製品構成、作業区、製造オーダー、購買オーダーを取り込みます。
- 計画開始・終了日時をMOの工程に書き戻します。
- 作業者の実績報告をPMS070MI Report operation経由で送り返します。
- SkyPlannerのWebhookが、スケジュールの変更を発生時に通知します。
導入時にはSkyPlannerチームがお客様のM3環境に合わせて連携を設定し、本稼働後もサポートします。このガイドは、導入に参加するパートナーや開発者、および公開ドキュメントのあるSkyPlannerのREST API(APIリファレンス)を使って独自に開発する方を対象としています。
SkyPlannerが使用するM3インターフェース
Infor M3には四つの連携レイヤーがあり、この連携ではそれぞれが役割を担います。
- ION API Gateway上のM3 API(MIプログラム)。すべてのMIプログラムはREST呼び出しで実行します:
https://{ionapi-host}/{tenant}/M3/m3api-rest/v2/execute/{program}/{transaction}。v2を使用してください。v2では会社、事業部、日付形式のパラメーターが追加され、返されるペイロードもv1とは異なります。PMS100MIは製造オーダー、PMS070MIは工程実績の報告を扱います。(Inforドキュメント) - Infor Data FabricのCompass query API。MITMAS、MWOHED、MWOOPEなど、複製されたM3テーブルをSQLで読み取ります。Compassは非同期で動作します。ジョブを送信し、ステータスをポーリングしてから、ページあたり最大100,000行または10 MBの結果を取得します。マスタデータの初期取り込みに適しており、リアルタイム同期には向きません。(Inforドキュメント)
- ION BODs。M3 BOD Processorは、有効化されたBODを会計エンティティごとに発行します。受信用BODには、Process ProductionOrder、SyncおよびProcess BillOfMaterials、Process ItemMaster、Sync InventoryCountなどがあります。(Inforドキュメント)
- M3 Event Hub。MOヘッダーや工程の変更など、テーブル単位のイベントを扱うパブリッシュ/サブスクライブ型のフレームワークです。(Inforドキュメント)
MI APIの仕様は、各テナントのION APIカタログにあるAvailable APIsに掲載されており、プログラムごとにSwaggerが用意されています。標準カタログに必要なトランザクションがない場合は、XtendM3でカスタムMIプログラムを追加し、Metadata Publisherでカスタムの一覧取得APIを作成します。
認証
OAuth 2.0を使用し、SkyPlannerをION APIの認可済みアプリとして登録します。特定ユーザーのセッションなしで連携を実行できるよう、サービスアカウントを持つバックエンドサービスアプリを使用してください。ION APIはすべての呼び出しに対し、テナントのスロットリングおよびセキュリティポリシーを適用します。(Infor開発者ポータル)
SkyPlanner側のREST APIは、APIトークン(SkyPlanner Settings > API)で認証します。仕様はSwagger/OpenAPIで公開されています。最初の呼び出し手順は、連携チュートリアルで確認できます。
変更の検知:Event Hub、BODs、ポーリング
M3は変更をプッシュ通知できますが、Infor側で次の設定が必要です。
- Event Hubは、有効なサブスクライバーが存在するイベントだけを発行します。ION Enterprise Connector(IEC)は、EventHub Subscriberチャネルを通じてイベントを購読します。
- BODsは、BOD Processorで会計エンティティごとに有効化する必要があります。この設定にはM3EC-Administratorロールが必要です。(Inforドキュメント)
プッシュ通知がまだ設定されていない場合は、PMS100MIの一覧取得トランザクションをポーリングするか、更新タイムスタンプを条件にCompassクエリを実行します。
書き戻し側は、SkyPlanner自体のWebhookにより、運用初日からイベント駆動で動作します。
データマッピング
| Infor M3オブジェクト(インターフェース) | SkyPlannerオブジェクト | 方向 | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 品目、MMS001(Compass経由のMITMAS、品目用MIプログラム) | 製品と材料 | M3 → SkyPlanner | 初期取り込み後は変更時 |
| 製品構成ヘッダー:PDS001、材料:PDS002 | 製品構成、子製品、材料 | M3 → SkyPlanner | 初期取り込み後は変更時 |
| PDS002の工程:工程番号、作業区、段取り時間、加工時間 | 段取り時間と加工時間を持つ工程 | M3 → SkyPlanner | 初期取り込み後は変更時 |
| 作業区:PDS010、日別能力:PDS015 | リソース、リソースグループ、効率 | M3 → SkyPlanner | 初期取り込み後の更新はまれ |
| 製造オーダー:PMS100(MWOHED)、PMS100MI | 納期と数量を持つオーダー | M3 → SkyPlanner | Event Hubまたはポーリング |
| MOの工程(MWOOPE) | 工程ごとの作業 | M3 → SkyPlanner | Event Hubまたはポーリング |
| 在庫残高 | 材料ごとの在庫 | M3 → SkyPlanner | 毎時またはスケジューリング実行時にポーリング |
| 納入日を持つ購買オーダー明細 | 入荷予定の材料(納入日に使用可能) | M3 → SkyPlanner | 毎時またはスケジューリング実行時にポーリング |
| MOの工程ごとの計画開始・終了日時 | ガントチャートに配置された作業 | SkyPlanner → M3 | スケジュール変更時にSkyPlannerのWebhook経由 |
| PMS070MI Report operation:段取り時間、加工時間、数量 | 作業者が記録した作業時間と数量 | SkyPlanner → M3 | 実績確定ごと、またはシフトごと |
| SkyPlannerの制約データ | 切替時間マトリックス、数量に制限のあるリソースとしての工具、作業ごとの作業者、代替リソース | SkyPlannerで管理 | 導入時に設定 |
連携パターン
1. マスタデータの初期取り込み。Compassを通じて、品目、製品構成、工程、作業区を一括で読み取ります。各作業区をSkyPlannerのリソースとリソースグループのどちらに対応させるか、明確に決めてください。並列稼働する三台の機械を表す作業区で、それぞれを個別にスケジュールしたい場合は、三つのリソースとして登録します。
2. オーダーの同期。PMS100MIまたはMWOOPEからリリース済みMOとその工程を読み取り、在庫と未完了の購買オーダー明細も取り込みます。SkyPlannerは、発注済みの材料をPOの納入日から使用可能として扱い、POがDeliveredになると在庫を更新します。スケジューリングでは、この両方を確認します。
スケジューリングの対象は、確定済みMOだけにしてください。計画MO(PMS170)はMRPによって再生成され、再計画のたびにM3がその負荷を再構築します。
3. スケジュールの書き戻し。エンジンが配置または移動したすべての工程について、SkyPlannerは計画開始・終了日時をMOの工程に書き戻します。呼び出しには、テナントのカタログにあるMO工程用のM3 MIトランザクションを使用します。環境に応じて必要な場合は、XtendM3のMIプログラムを使用します。数量、ステータス、原価計算は引き続きM3が管理します。
4. 製造現場での実績確定。作業者はSkyPlanner Mobile ConfirmationsまたはProduction Timerで作業を記録します。SkyPlannerはPMS070MI Report operationを通じて段取り時間、加工時間、数量を送信し、工程完了時にはConfirmまたはClose operationを実行します。Inforは”it is important that every operation is reported,”(すべての工程の実績を報告することが重要)と述べています。この報告により、M3の負荷とSkyPlannerの進捗の整合性を保ちます。(PMS070MI)
工程ごとに、実績報告の経路を一つに決めてください。同じ工程をSkyPlannerとM3のPMS070の両方から報告すると、数量が二重に計上されます。
5. データの管理主体と競合時のルール。本稼働前に、次の内容を文書化してください。
| データ | 管理元 |
|---|---|
| 品目、製品構成、数量、MOステータス | Infor M3 |
| 工程の順序、開始・終了日時、リソースの割り当て | SkyPlanner |
| 切替時間マトリックス、工具、作業ごとの作業者、代替リソース | SkyPlanner |
| シフトと欠勤 | 要件定義で選定した一つのシステム |
| 工程実績の報告 | M3(SkyPlannerからPMS070MI経由でデータを受信) |
競合の主な原因は、M3独自の日程計算ロジックです。負荷は”is automatically generated when a manufacturing order or planned manufacturing order is generated or replanned.”(製造オーダーまたは計画製造オーダーの生成時や再計画時に自動生成されます)。再計画されたMOは新しいバージョンとして扱い、再同期したうえでSkyPlannerに再スケジューリングさせてください。Autopilotは、生産状況が変わると自動的に再スケジューリングします。SkyPlannerにM3 Scheduling Workbenchは必要ありません。SWBのライセンスがある場合も、互いに上書きしないよう、工程日程の管理はSkyPlannerに任せてください。
一般的なプロジェクトの進め方
実装は通常、オンボーディング開始から数週間以内に完了します。それに先立ち、30日間の無料トライアルで自社のデータを使って試せます。通常お使いのExcelやCompassによる抽出方法で、M3から品目、作業区、未完了のMOをエクスポートし、CSVまたはExcel形式でインポートしてください。
- M3管理者との事前確認。導入形態、ION APIのテナント、カタログ内のMIトランザクション、会社と事業部を確認します。
- マッピング。マッピング表、データの管理主体に関するルール、同期頻度、実績報告の経路を確定します。
- ION APIの設定。まずサンドボックスのテナントで、認可アプリとサービスアカウントを登録します。
- 初期データの取り込み。Compass経由で品目、製品構成、工程、作業区を取り込みます。
- オーダーの同期。MO、MO工程、在庫、購買オーダーをポーリングで同期し、準備が整った段階でEvent Hubを追加します。
- SkyPlannerでの制約設定。切替時間マトリックス、工具、作業ごとの作業者、代替リソースを設定します。
- 書き戻しと実績報告。工程の日程をM3に書き戻し、作業者の実績報告にはPMS070MIを使用します。
- 並行運用と本稼働。現在の計画と並行してSkyPlannerを運用し、マスタデータを修正してから書き戻しを有効にします。
Infor M3連携で事前に考慮すべきこと
- 工順オブジェクトはありません。工程は製品構成(PDS002)に含まれ、MO上ではMO工程として保持されます。工順用のAPIを探す必要はありません。
- 工程のない製品構成。製品構成には少なくとも一つの工程が必要です。工程がないとM3で負荷が生成されず、SkyPlannerにも作業が渡りません。
- M3の有限能力フラグは外部の計画と競合します。PDS010のフラグとCRS786のボトルネック設定は、M3側の日程を変更します。M3の作業区は無限能力のままにし、実際の能力を踏まえたスケジューリングはSkyPlannerに任せてください。
- API仕様はテナントごとに異なります。v1とv2ではレスポンスが異なり、トランザクション名もカタログやXtendM3の拡張によって変わります。v2を使用し、会社と事業部のパラメータを明示してください。
- プッシュ通知は初期状態では無効です。Event Hubにはサブスクライバーが必要で、BODは会計エンティティごとに有効化する必要があります。IONとIECの設定担当を決めるか、まずはポーリングで開始してください。
- 流量制限とページング。ION APIはテナントのポリシーに従って流量を制限し、Compassが返すデータはページあたり最大100,000行または10 MBです。毎回全件を再読み込みせず、差分をポーリングしてください。
- M3とCloudSuite Industrialは別の製品です。CSIはIDO APIを、M3はMIプログラムを使用します。すべての仕様書に、対象となるM3のオブジェクト名を明記してください。
Infor M3連携の設定担当
- SkyPlannerチームがオンボーディング中に設定し、本稼働後もサポートします。M3の運用方法は工場ごとに異なります。その運用ノウハウを連携設定に反映します。
- ご契約のInfor M3パートナーが構築を担当することも、構築に参加することも可能です。パートナーは、お客様のテナント、XtendM3の拡張、IONの設定を把握しています。SkyPlannerはREST API、Swagger/OpenAPIのドキュメント、Webhookを提供します。
- 自社の開発者による構築も可能です。同じREST APIをAPIトークンで利用できます。APIトークンがあれば着手でき、必要に応じてSkyPlannerチームが支援します。Laboratory & Alliedの社内ITチームは、SkyPlannerの支援を受けながら、ERP連携の大部分を自力で構築しました。
SkyPlannerは5リソース込みで月額199 €から利用でき、毎月の請求となります。連携費用は、お客様の業務プロセスと要件に合わせ、ご利用プランとともに事前にお見積もりするため、開始前に総費用を把握できます。料金をご確認ください。M3標準の計画機能についてはInfor M3の生産スケジューリング、連携の概要はInfor M3のページ、他のシステムとの連携はERP連携一覧をご覧ください。
製造業のお客様によるSkyPlannerの評価
2時間毎週削減
「SkyPlannerによって、当社の生産計画はExcelの表計算から、リアルタイムでの生産最適化へと変わりました。」
Kalle Kalliomäki、サプライチェーンスペシャリスト
UTU · 配電盤・開閉装置
生産計画にかかる作業時間を毎週2時間削減し、新しい作業キューは数秒で生産ラインに届きます。
+90%生産効率
「生産効率が90%向上しました。」
Abdul Rucyinga、IT責任者
Laboratory & Allied · 医薬品製造
生産効率が90%向上し、全リソースを対象とした三か月分の最適化された計画を30分未満で作成できます。
98%納期遵守率:約50%から向上
「SkyPlannerは、当社の納期遵守率を維持するうえで決定的な役割を果たしています。」
Hannu Lahtinen、代表取締役
KJH-Comp · 板金加工・受託製造
納期遵守率は約50%から最高98%に向上し、スケジューリングを担当する管理者も二人から一人になりました。
100%2021年以降の納期遵守率
「SkyPlannerで生産能力を可視化でき、見通しを持って計画を立てられるようになりました。」
Dan Berglund、COO/CFO
Opes Corporation · 化学品・食品製造
2021年にSkyPlannerの利用を開始して以来、納期遵守率は一貫して100%を維持しています。
よくある質問
SkyPlannerはInfor M3のどのAPIを使用しますか?
ION API Gateway上のM3 APIを使用し、OAuth 2.0による認証で、PMS100MIやPMS070MIなどのMIプログラムをREST経由で呼び出します。一括読み取りはInfor Data FabricのCompassが処理し、変更はEvent HubまたはION BODでプッシュ通知します。
Infor M3連携は誰が構築しますか?
SkyPlannerチームがオンボーディング中にお客様のM3環境に合わせて双方向連携を設定し、本稼働後もサポートします。M3パートナーや自社の開発者が、ドキュメントを公開しているSkyPlannerのREST APIを使って構築することも可能です。APIトークンがあれば着手できます。
製造現場から工程実績を報告するには、M3のどのAPIを使いますか?
PMS070MIを使用します。段取り時間、稼働時間、数量はReport operationで報告し、工程の完了にはConfirm and Close operationを使用します。SkyPlannerはこのAPIを通じて作業者の実績報告を送信します。
オンプレミスのM3とも連携できますか?
はい。オンプレミスのM3でも同じM3 APIを利用できます。ION API Gatewayがない場合、SkyPlannerはオンプレミスのIONまたはGridのエンドポイント、あるいはミドルウェアを経由して接続します。接続経路はM3管理者との事前確認で確定します。
M3パートナーはM3 Scheduling WorkbenchとSkyPlannerのどちらを提案すべきですか?
お客様が概略計画ではなく、実際の能力制約を反映したスケジュールを求める場合はSkyPlannerです。Infor自身も、SWBの本稼働時にはすべてのリソースを無限能力で開始し、重要なボトルネックだけを有限能力にするよう推奨しています(Inforのドキュメント)。InforはSWBを、RDWebまたはスタートメニューから起動するアドオンとして位置付けています。SkyPlannerは同じM3 APIで接続し、すべてのリソースの能力制約を反映してスケジューリングし、自動で再計画します。作業者向けのMobile Confirmationsも備え、月額199 €から利用できます。
連携を構築する前にSkyPlannerを試せますか?
はい。30日間の無料トライアルでは、M3からCSVまたはExcelでデータをインポートし、最大20リソースで試せます。クレジットカードは不要です。無料トライアルを始めるか、連携の要件定義について営業に相談することができます。